「シェアキッチン&スペース botan」――文の里商店街の一角に笑い声が響く
このnoteでは、あべのって学生部の活動や、あべのにまつわる面白いひと・もの・ことなどを紹介しています。
・今回は、大阪・阿倍野・文の里商店街にある「シェアキッチン&スペース botan」についてご紹介していきます。
このnoteを通じて、「こういう人がおるんや」「こんな感じのお店があるんや」「こんな活動してるんや」と、少しでもイメージを持ってもらって、「行ってみようかな! えいや!」とハードルを越えてみる、その後押しができれば嬉しいです。
ご近所にある謎の場所
突然ですが、皆さんのまちには、
「前を通るとなぜか笑い声が聞えてくる謎の場所」
はありますか? 僕の家の近くには、そんな場所があります。
ほとんどのお店が18時くらいで閉まる商店街で、21時頃に前を通っても何故か電気がついていて、笑い声が聞こえてくる、そんな一角です。
今回は、この謎の場所の正体――
――あべのって学生部でイベントを行ったり、僕も含め、学生部に関わる人たちが出入りしまくり、お世話になりまくりの、文の里商店街にあるシェアキッチン&スペース botanについて紹介していきます。
botanって?
「botan」は、文の里商店街にあるシェアキッチン&スペースです。
キャッチコピーは「つどう、つくる、かけあわせる」
様々な人が日替わりで空間を"シェア"して、食堂をやったりカフェをやったりやったり、はたまたイベントをやったり"部活動"をやったりできる、そんな場所です。
(↓は2023年12月のbotanのカレンダー。飲食からイベントから、様々な世代の人たちが集っています。)
"レンタル"ではなく"シェア"キッチン&スペース、というのには理由があります。場を借りた人が、ただ"レンタル"した時間分botanを使っておしまい、という形ではなく、
・botanでお店やイベントをやる人、botanに遊びに来る人、まちの人みんなが「自分ごと」として楽しめる
・「◯曜日のカフェの出店者・お客さん」や「◯曜日の食堂の出店者・お客さん」など、それぞれの出店者・お客さんがバラバラになることなく、botanという一つの場を、緩やかに、日替わりに"共有"して楽しめる
そんな広がりのある空間になるように、という願いを込めて、「つどう・つくる・かけあわせる」をキャッチコピーに、"シェア"キッチン&スペースとして運営しています。
「将来、自分の飲食店を開きたい!」という人や、「大好きな料理をみんなにも食べてもらいたい!」という人が、お休みの日にごはん屋さんやカフェをやってみたり、
あべのの「まちづくり」に関わっている人が、まちの人同士がゆるく交流できる場としての食堂をやったり、地域やママさんグループが協力して、フードパントリーや子育て支援・教育イベントをやったり、
定期的にbotanに集まって、美術や手芸やガンプラを作ったりする部活動をやったり、あべのって学生部など、まちに関わるコミュニティがイベントをやったり、
最近は、botanのママ・まーさんが"ママ"になったり、まちの面白い人とコラボしておしゃべりを楽しむ引き合わせ酒場「おしゃべりまさこ」が月曜日の恒例企画になっていたり、
なにか一つに顔を出すと、なんとなく居合わせた人と話して顔見知りになって、別の日の催しにも興味を持って、顔見知りが知り合いになり友達になり、それがまた数珠繋ぎになって……ご縁が"シェア"されて広がってく――
――というのが、この半年間、あべのって学生部でのご縁からbotanに入り浸っている僕の感想です。
ちょっと前まで「近所にある謎の場所」だと思っていたのが信じられないくらいです。
botanのはじまり
ここからは、botanのはじまりから現在に至るまでを紹介していきます。
botanのオープンは2021年11月22日。
文の里商店街にある、元手芸用品店・元服飾店の建物をリノベーションして誕生しました。
きっかけは、ご近所で内装屋を営む「ひろしさん」さんが、ご自分の事務所にできそうな物件を探し始めたこと。するとある日、ご近所のご縁の中から、「商店街にいい物件が空きました」という情報が入ってきました。
地域コミュニティのご縁もあり、ひろしさんと、デザイナーの「まーさん」が2人で内見に来たところ、そこにたまたま、お二人の知り合いで、まちづくりのエキスパート「ひらぴー」さんが通りかかります。
商店街の空き物件を見る機会もそうそうないことから、
「見学できるの?」とひらぴーさんが食いつくと、「ええんちゃう? 一緒に見よか」と、急遽3人で見学をすることに。
その場では「ひろしさんの事務所にするのは難しそう」と、内見を終えたそうなのですが、商店街の中心部という立地や、3人それぞれがまちのコミュニティ・活動に積極的に参加していたこともあって、「ここでなにかできそうじゃない?」というワクワク感が残りました。
その後、まちのコミュニティで「面白いことができそうな場所がある」という壁打ちが始まり、
「なんかできそう」
「ええやん、やってみようや」
「じゃあ物件借りてみるか!」
と、見切り発車でプロジェクトがスタート。
これが、botanのはじまりです。(!!)
みんなで作ったbotan
内装屋のひろしさんと、まちづくりのエキスパートのひらぴーさん。2人のアイデアのかけあわせから、botanのリノベーションは「まちの人たちを巻き込んだDIY」として実現しました。
物件を見つけた3人以外にも、場の魅力に引き寄せられ、主体的に「ここでなんかやってみたい!」「一緒に面白いことやろうよ!」とアイデアを持ち寄る人たちがたくさんいました。そういった人たちを中心に、「今度の土曜日はペンキ塗り!」「今度の日曜はカウンター作るでー!」と、広くまちの人たちを巻き込みながら、botanのリノベーションは進んでいきました。
様々な人がイベントごととして楽しみながらお手伝いをしてくれたおかげで、全てDIYで作り上げることができたそうです。
こうして、DIYや、設備充実のために呼びかけられたクラウンドファンディングなどを通じて、まちの人たちによって作り上げられたbotan。オープンする頃にはすでに、「つどう・つくる・かけあわせる」のキャッチコピーを体現し、たくさんの人にとっての「自分ごと」になっていました。
ちなみに「botan」という名前の由来は、(botanの一代前の服飾店のもう一代前に)元々この建物で長く営業していた手芸用品店が、まちの人に「ボタン屋さん」と呼ばれ、親しまれていたから。
長くまちに住んでいる人や、商店街を利用する人たちにも親しみを持ってもらえるように、更には、キャッチコピーの「かけあわせる」も表現して、「botan」という名前が生まれました。
みんなで作るbotan
開業してしばらくは、コロナ禍の影響も受けつつ、試行錯誤の日々が続きました。
クラファンの返礼品の一つであった「ボトルキープ」をきっかけに始まった、まーさんがママとしてキッチンに立つ「スナックまさこ」(これが現在の「おしゃべりまさこ」に繋がっていきます)。
同じく阿倍野区内で活動している「ときわこども食堂」や、阿倍野区と、お隣の東住吉区のママさんたちによる活動「codomotoままちっち」とのご縁から派生した、フードパントリーや子育て支援の取り組み。
botanの準備にも関わっていた若い世代による、コミュニティスペース的な飲食店。
絵画教室の先生発案の「美術部」など、botanに集う人たちの「得意・好き」をかけあわせた部活動の数々。
あべのって学生部も居場所やイベントの場としてbotanを使い始めるなど、準備期間も含めて「botan」に関わっていたまちの人たちが、率先してbotanの使い方を開拓していきました。
そんな手探りの中で少しずつ恒例の出店やイベントが定着し、botanに関わる人も増えてきました。最近では、SNSなどを見て、あべの/昭和町の外からも、「botanでなにかをやってみたい!」とやってくる人がいるなど、みんなで作るbotanの輪が広がっています。
そして今年の夏。botanの奥にある「たたみの間」と、その更に奥の「板の間」スペースを、あべのって学生部や、その他地域コミュニティの居場所として、もう少しラフに使わせてもらえる、ということになりました。
半ば物置状態になっていたところを、「みんなでお片付けしよー!」と、開業前のDIYのようにイベント感覚で、botanに関わるみんなで片付けを行いました。
僕は開業前のDIYのときにはbotanのことを全く知らなかったので、ここで初めてこういう"イベント"に参加できました。久しぶりに文化祭に参加したみたいな気分を味わえました。
初めましての方もたくさんいたのですが、なんとなーくご挨拶し、紹介してもらったりしながら一緒に片付けをし…………なんなら、今回インタビューなんてさせてもらってますが、「まーさん」ともこの日が初めましてでした(笑)
ただ、これもDIYの魔法なのか、片付けに没頭するうち、「掃除機かけますねー!」「これそこに置いといてー!」なんて、クラスの大掃除みたいなノリで自然とコミュニケーションがとれていました。
この日にしっかり知り合って、今ではすっかり顔なじみになった人たちがたくさんいます。(そういう意味では、この片付けの日は僕にとってのbotan記念日かも……?)
これからbotanに来るあなたへ
そんなbotanは、2023年11月22日で開業2周年を迎えました。
(おめでとうございます!)
積み重なってきた繋がりが好循環を生んで、新たなお店、コミュニティ、活動、奥のスペースのリニューアルなど、新しい風・楽しみの種がたくさん芽吹いています。
とはいえ、こういった"ローカル"なコミュニティや場に顔を出すのには、少し勇気が必要だと思います。僕もそうでした。
25年間あべの/昭和町に住んできましたが、あべのって学生部やbotanなどに顔を出し始めたのはこの半年のことです。
最初の一歩を踏み入れる緊張感は、もちろんありました。
まーさんがあべのにやってきたのも6年前のこと。初めは誘われるがまま、巻き込まれるように、恐る恐る地域のコミュニティに参加していったそうです。
そんな僕とまーさんが共通して感じたのは、
「なんや、一歩入ってみたらこんなもんなんや」
ということでした。
この記事を読んでくれていて、「あべのって学生部」や「あべの/昭和町」のまち、そして「botan」に興味を持ってくれているそこのあなた。
ぜひ、気軽に一歩踏み出してみて、botanを楽しむたくさんの人たちに、美味しいご飯やスイーツに、楽しいイベントに、出会いに来てくれたら嬉しいです。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
今回は、あべのって学生部の"部室"としても使わせてもらうことになった、文の里商店街のシェアキッチン&スペース botanについて紹介しました。
これからもこのnoteでは、あべのって学生部の活動や、その一環として、あべの/昭和町のまちにまつわる面白いひと・もの・ことを記録、紹介していきます。
今回の記事は、botanのママ「まーさん」へのインタビューをもとに、「ひらぴーさん」や「きゃしーさん」、「イマフクコーヒー」や「Cafe96」、あべのって学生部メンバーでカメラが得意な「みじゅき」など、botanに関わる皆さんから情報や素材を頂いて完成しました。
ご協力くださった皆さん、ありがとうございました!
そんな素敵な皆さんにも、ぜひ会いにきてみてください!
また、「あべのって学生部」でも、あべの・昭和町のまちを楽しんで活動してくれる仲間を募集中です。少しでも気になる、という方はぜひ、あべのって学生部のInstagramなどに気軽にご連絡くださいね。
筆者:増田ひろ