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社会のアップデートとテクノロジーは相性がいい

「先が見えない」のは今に始まったことではない

こんにちは。
VUCA Laboというコミュニティを創って、だいたい月に1度のペースで予測不確実な時代にも必要となるヒントを共有する場をオンライン形式で提供しています。このVUCAという言葉は、皆さんも仕事でたまに耳にすることがあるのではないでしょうか。以下の4つの頭文字をとった造語です。

Volatility ー 変動性
Uncertainty ー 不確実性
Complexity ー 複雑性
Ambiguity ー 曖昧性

あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生するため、将来の予測が困難な状態を指す言葉です。
「先が見えない」とか「変化が激しい」とは、いつの時代でも言われることですが、5~10年前に比べてるとVUCAの度合いは明らかに加速していると言えるでしょう。

不確実性(Uncertainty)をどこまで認識できたか?

VUCAの要因に中に不確実性Uncertaintyというものがあります。不確実性はリスクと混合されがちですが、実はこの2つは似て異なるものです。

「リスク」は、起こりうる事象が分かり、その起きる確率も予め分かっているもの。
「不確実性」は、起こりうる事象は分かっているが、起きる確率が分からないもの。すなわち数量化できないもの。

そして、この不確実性な要因は、たとえば私個人としては災害や事故、病気・死亡、失業などがあげられますし、組織や国にさまざまあります。例えばWithコロナ、Afterコロナに関することには、周期的に感染拡大が起こりずっとストレスを溜め続けたり、リモートワーク推進がはかどらず生産性が伸び悩んだり、企業が相次いで倒産したり、金融が連鎖破綻したりする可能性もないとはいえないのです。すべてを把握することは難しいですが、こういった事をできるだけ頭の片隅で認識できているかだけで、都度の意思決定やスピードに影響を与えその積み重ねが、持続性にもつながるのではないでしょうか。

パンデミックへの脅威は、人によって乖離が大きい

私はIT技術が大好きですが、同じように読書や映画も好きで、たまたま「ペスト」という本や、「コンティジョン」という映画を観ていたので、こういった前触れでどうすべきかや、何をするかを早めに意識できていたほうでした。2月前半頃は、仲間のエンジニアはその時も、オフラインでなんとか今まで通り勉強会を開催できないかとか、ビジネス商談でも、なんとかこのタイミングで会食できないかなど、現状の変化の危機感を意識できずにいる人も多かったです。たしかに自分の立場を考えると、今まで通りで続けたいのは最もと思いつつ、さりげなく反対していました。不確実性であるがゆえに私自身も感染拡大が広がるという確証もできなかったので、その当時は仲間からは感じの悪い印象を受けていたと思います。
また、一番ヒントになったのは6年ぐらい前に買った「日本最悪のシナリオ 9つの死角」という本で、この9つの中にパンデミックの事も入っていました。予測自体はできませんが、いろいろな事に興味を持つていたことで明らかに、周りよりも的確な行動ができたと思っています。いまでも、サイバーテロや核テロは意識だけはしておくべきとは思いますが、あくまでも本業に専念すべきで、こういったことにたくさん時間を注ぐのは言語道断でもあります。

尖閣衝突――尖閣を巡る攻防がもたらす意外な結末
国債暴落――日本が抱えた〝茹でガエル〟リスク
首都直下地震――amazon型社会の崩落
サイバーテロ――攻撃目標は都市インフラ
◎パンデミック――医者が消えた日
エネルギー危機――ホルムズ海峡封鎖から始まる見えない危機の連鎖
北朝鮮崩壊――揺れる非核三原則、決断を強いられる日本
核テロ――3・11の教訓とは何か
人口衰弱――二〇五〇年、若者がテロリストになる日

歴史から学べるべき事も多い

VUCAを知る人の中には、過剰な変化をひたすら追求する人がいますが、ビジネスを変革するのはそんなに簡単ではありません。ただ、今回のようなパンデミックは歴史を遡ると改革に繋がったり、テクノロジーと組み合わせた改革なども見受けられます。最も大きな影響があったのはヨーロッパの宗教改革やルネサンスなどではないでしょうか。13世紀の西ヨーロッパではローマ教会の権威が絶大でしたが、十字軍の遠征に失敗したり、ペストが流行したため、ローマ教会は権威を失墜させていきます。さらに15世紀はバチカンのカトリック教会の総本山のサン・ピエトロ大聖堂の大改築に莫大な費用が必要となり危機的な財政状況になりました。そこで教皇は、資金を集めるために免罪符を発行しましたが、ペストが蔓延しているため救いを求めて購入されていきました。一方、本当に今のキリスト教が本当に正しいのかを考えることで、キリスト教以前のギリシアやローマの文化における人間中心の生き方についての学問・文化を再生する活動が行われます。これが「ルネサンス」です。ちょうどこのころに活版印刷の技術がドイツのグーテンベルクによって実用化されました。それまでの本は手書きだったので凄まじい生産性の変化です。印刷を通じて文化がこれまで以上のスピードで拡大されていったためアントワープは最大の貿易都市となりました。さらに、免罪符の販売から、キリスト教に改革が起こりプロテスタントによって分裂される宗教改革にまで発展します。これまで信頼したことが信頼できなくなったり、そこにテクノロジーが組み合わさることで大きな改革がおこっていったのです。パンデミックは、当時の人々にはウィルスとという認識はなく、神が与えた試練のように感じていたのかも知れませんよね。第一次世界大戦が終戦したり、第二次世界大戦の開始にもパンデミックが影響しているようです。さらにニュートンやシェークスピアもペストで学校や仕事に行けなかったため、革命的なアイデアが出たり、芸術的な作品が生まれていたのです。こういった歴史を知ると、考えることがいかに重要かと、社会やビジネスが変化するパターンのヒントが得られたり、人類とウィルスは共存しながら永久に生きていく必要があることを改めて認識できます。アフリカの未知のジャングルには人類と相性の悪いウィルスが存在する可能性も大いにあるのです。目先のビジネスに囚われてジャングルを開拓すると人類が破滅することすら起こりうるのです。こう考えるとSDGsは開発途上国の貧困層ではなく、私たち自身の身近の問題だとしっかり意識するのではないでしょうか。

変革に重要なのは、やはりテクノロジー!

歴史から振り返っても、技術が社会の変化に大きな影響を与えてきたことは一目瞭然です。ですが、「今の技術には何があり、自分たちにはどれが一番重要なのか?」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか?まずは、新しい時代に向けて考えることが重要だと思いますが、そのためには、より多くのインプットがあると良い方向にできるのではないでしょうか?正直に言うと、日本だけ見ているとなかなか正しい方向にすることができないと思います。世界の歴史的背景や、ビジネス、テクノロジーの動きをもっと知るべきです。さらにテクノロジーだけではなく、新たな思想や、ビジネスに関わるあらゆる仕組みをデザインする方法も重要です。
次回のVUCA Laboでは、世界中の歴史的背景をよく知り、その中でも特にテクノロジーを中心とした動向に詳しい小林弘人さんを招いて、参加者と一緒に、自分自信や組織、社会がどのようになるべきかを考えます。小林さんは、先進的なメディアを数多く立ち上げているので、ビジネスに関するアドバイスもしていただけます。私は個人的にビジネスのアップデートについて相談したいです。小林さんの近著「After GAFA」には、そういったヒントも載っていました。

小林 弘人(こばやし ひろと)
・株式会社インフォバーン共同創業者・代表取締役CVO
「ワイアード・ジャパン」「ギズモード・ジャパン」など、紙とウェブの両分野で多くの 媒体を立ち上げ、1998年よりデジタル・エージェンシーの先駆けである株式会社イン フォバーンを起業。グループにオンライン出版のメディアジーンを擁し、コンテンツ・マー ケティング、オウンドメディアの先駆として知られる。現在は企業のデジタル・トランス フォーメーション、イノベーション支援を行う。
2016年、ベルリン市主催APW2016でスピーカーを務める。同年よりベルリンのテック・ カンファレンスTOAの日本公式パートナーとなる。2018年より、企業と行政のイノベー ターをネットワークするUnchainedを創設。「世界を再設計する」をテーマに、分散型ラ ボとラーニング・コミュニティ「Un-LEARN」を開設。国内外を代表するオピニオン・リーダーやイノベーター多数をリード(講師)に 迎え、多様なテーマについて学び、コミュニティを構築する。
主な著書に『AFTER GAFA 分散化する世界の未来地図』(KADOKAWA)『ウェブとはす なわち現実世界の未来図である』(PHP新書)主な監修・解説書に『フリー』『シェア』 『パブリック』(NHK出版)ほか多数。

6月18日の夜に開催するので、興味があれば是非ご参加下さい。

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