怒りを抑えて生きやすく。アンガーマネジメントを学ぼう!
コロナ下でのリモートワーク。どことなく感じる閉塞感。
お子さんがいらっしゃる家庭では特に逃げ場のなさから目に見えないストレスが溜まり思わず怒りやすくなっていること、全然関係のない人に怒ってしまうこと、ありませんか?
仕事においても頻繁に顔を合わせなくなったことでオブラートに包まず伝えてしまったり、相手と自分の情報量や視点/状況の違いを考慮せず、衝動的に発言してしまい後悔したこと、ありませんか?
僕はあります。自戒を込めてアンガーマネジメントについて学びましたので、同じような課題感を持たれている方は是非ご一読ください!
今回参考にした情報ソースは下記。
アンガーマネジメントの意義
アンガーマネジメントとは下記のように定義できます。
感情の中でも特にマイナスな結果を引き起こす原因となりがちな「怒り」に正しく対処することで健全な人間関係を作り上げる知識/技術を習得すること
「徳川家康が『怒りは敵と思え』と残した」とオリラジ中田さんも言ってますが、古くから怒りのコントロールは組織マネジメント/人間関係構築において重要視されていたようです。なぜか。怒りは上から下に伝播するものであり、リーダーの怒りは下に瞬く間に伝わり組織の心理的安全性が崩壊するためです。
例えば父が仕事でストレスを抱えて妻に当たる、妻が子に当たる、子は学校で友達に攻撃を加える、といった連鎖を起こしてしまいがちです。子はびくびくして存在を消すようになる、気を遣って道化師のようにふるまう、など怒り以外の表出形態を取ることもあると思いますが、どちらにせよ組織のリーダーこそアンガーマネジメントが必要です。
「短気は損気」ですね。
アンガーマネジメントにおいて重要な考え方は、「怒り」は反射ではなく自分で生み出しているものであり、だから自分でコントロールできる、という点です。技術なので練習すれば誰でも出来るようになるのです。
そもそもなぜ怒りが発生するのか
先述の通り「怒り」は反射ではありません。自分で選択して「怒り」を表出しているのです。同じ出来事でも置かれている状況が違えば人は全く違う感情を持つからです。
例えば、「街で肩と肩がぶつかった」という出来事であっても、「上司に怒られてイライラしている時に街で肩と肩がぶつかった」のと「彼女とデート中に街で肩と肩がぶつかった」とでは後者では怒りが表出せず、前者では表出するかもしれません。またぶつかった相手が強そうかそうでないか、でも怒りの表出は変わってくるかもしれません(笑)。
このように人は誰か、何かに怒らされているのではなく、自分で怒ることを選んでいるのです。
怒りが生まれるまでには下記のようなステップが存在します。
上記の例の通り、怒りが発生するか否かは②出来事の意味付けによって左右されます。出来事をどのように意味づけ、解釈するかはその人の持つ独自の価値基準、”コアビリーフ”に依存します。
人は「~であるべき」という信念が満たされない時、つまり自分の中での当たり前/常識と他者の行動が乖離する時に怒りが発生しやすい、という構造です。
考えや価値観の違いを受け入れられないから怒ることを選んでしまっているのです。
一方で昨今は多様性を尊重する社会になり、自分らしさが以前より追究できるようになってきました。それ故に、「かくあるべし」という価値観も多様化し、自分の当たり前からずれる事象に遭遇することも増え、一層怒りが発生しやすい社会になってきているように感じます。
・「当たり前」は人によって違うし、個人差が大きい
・「当たり前」は時代や環境によって大きく変化する
・「常識・当然・当たり前・普通・~すべき・絶対・必ず・いつも」という言葉を多用していると黄色信号
という意識を持ってコアビリーフの調整をしていくことで怒り感情の発生をコントロールできるようになっていくでしょう。
まとめ:
怒りはある出来事に遭遇しただけで反射的に生じるものではなく、自身の価値基準であるコアビリーフとの乖離を感じ取った際に表出するものであるため、コアビリーフの調整によって怒りはコントロールできる。
怒りを起こさないために怒り感情についてもっと知る
「怒り」そのものをゼロにしたり、取り除くことは難しいでしょう。しかしそもそも「怒り」は二次感情です。
悲しみ・困惑・虚しさという一次感情からの防衛感情として怒りが表出しているのです。
例えば、部下が意図と違う仕事をしてきて怒りそうになっても、それは怒り感情の前に、
「え、また手戻りが発生する、、また進捗遅れる、、悲しい」であったり、
「おー何回も同じこと言っているのに伝わっていない、、虚しい」であったりと一次感情があるはずです。
怒りは一次感情ではないので一次感情を捉えて、「私を主語にして、私がどう思ったか伝えつつ、”提案”に変換する」のです。
「なんでできてないの?」ではなく、「私はこう思っていたから今こういう状態で上がってきて悲しい/困惑している。だからこうしてほしい」といった形で。
ではなぜ多くの人ができないのでしょうか。それは面倒だからです。
怒りをそのままぶつけて怒りで無理やり人を屈服させるのは簡単な手法です(効果的か、長続きするかは置いておいて)。しかし、怒りそうになった時に一次感情を捉えて、過去「なぜこうしたの?!」と責めずに、未来「こうしてほしい」と提案の形に変えるのはめんどくさい作業です。
事実、「怒り」は自分に近い存在にこそ強く出ます。部下、夫婦、親子、友達etc。逆に遠い存在で、今後も関係性が続くような人に衝動的に怒り感情をぶつけることは少ないでしょう(取引先の上役、先生、上司etc)。
よって、怒りを発露しているのは自分自身であり、発露させるのは甘えだと言えます。怒りはメカニズムを理解し手間さえ掛ければ回避できるものです。短期的改善法と長期的改善法を叩き込み、トレーニングすることで怒りにくい身体になります。
まとめ:
怒りは悲しみ・困惑・虚しさという一次感情からの防衛感情として表出した二次感情である。そのため自身でコントロール可能だが、多くの人がしないのは面倒だからである。しかし怒りの発露は甘えなので、一次感情を捉え、提案の形で相手に返せるようトレーニングし、アンガーマネジメントができるようにした方が良い。
アンガーマネジメントの仕組を知ろう
出来事の意味づけの違いによって怒りが発生するか否か決まるのは先述の通りであり、その意味づけの基準となる価値基準がコアビリーフです。
コアビリーフの修正の方法として行動の修正と認識の修正があります。
行動の修正によって怒りのままに行動しないようにし、
認識の修正によって頭の中を怒りにくい仕組みにしていきます。
「認識が歪んでいるから行動も歪む」と考えるのがアンガーマネジメントの基本的考え方ではあるものの、衝動のコントロールを真っ先にやるのが短期的によいようです。
短期的な対処法
では衝動のコントロールをするにはどうしたらよいでしょうか。
「ストップシンキング」という手法が有効です。
怒りが来てから6秒立てば理性が作動するので、6秒間を何とかして稼ぐ、という手法です。怒りが湧き出てきたらまず止まり衝動的な反応を控えます。
具体的には下記のような方法があります。
・深呼吸
・カウントバック:100,97,94,91,,,
・怒りの数値化
・コーピングマントラ:決めた呪文(合言葉)を唱える
・グラウンディング:目の前にあるものを観察する
深呼吸とカウントバックは併せてやると良いかもしれません。100から3ずつ引いた数値を深呼吸しながらカウントバックしていきます。100,97,94,91,,,と。
怒りの数値化は今の怒りの状態を0-10点で点数化します(下記表参照)。意外と2,3点で怒っていることが多いことに気が付けて馬鹿らしく思えるでしょう。
コーピングマントラは呪文(合言葉)を唱える対処法です。怒ると2-3種類の言葉しか使えなくなってしまう人が意外と多いのです。怒り感情に限らず感情を説明できる言葉を多く持っておくことで、自身の感情との付き合い方は成熟していきます。怒りそうになったらこれを言うという「反射の合言葉」を用意しておくのです。「なんとかなる。大丈夫、口に出す、たいしたことじゃない、あと1週間で終わる!、良い機会だ!】などです。
グラウンディングは「今、ここ」に集中するために、目の前にあるものを丁寧に観察してみるという手法です。これは思い出して怒り感情が湧いてきた時に有効です。「あの人にあんなことされて、あの時言い返せなかったけど、めちゃめちゃむかつく!!」という状況において、意識が過去に行っています。しかし「今、ここ」に集中しないと事態は好転しません。ひとまず、目の前にあるボールペンでもPCでもなんでも良いので、「先が丸いなー、汚れているなー、」など観察して今ここに意識を戻すという手法です。
個人的にはグラウンディングは怒り感情を棚上げはできても、該当タスクに再度向き合い始めたら怒り感情が再燃しそうですし、カウントバックや怒りの数値化するより、物事を早く進めるために次何をしたら良いのかという未来にすぐ頭を切り替えられるようにしたいので、
短期的対処法としてコーピングマントラ(「大丈夫大丈夫」)→深呼吸を採用し、一次感情を捉えて提案できるようにしていきますにします。
長期的な改善法
次は長期的な改善方法です。4つの手法があります。
①アンガーログを付ける
②ストレスログを付ける
③サクセスログを付ける
④ミラクルディを実践する
①アンガーログを付ける
アンガーログは怒った事項と点数を記録する手法です(下記見本)。
忘れないうちに冷静に日付・場所。内容・点数を記録します。これによって「自分が何に怒るのか」傾向がわかるようになり、自分の「こうあるべき」という思想に気が付けるようになります。
これは「認識の修正」の第一歩であり、コアビリーフの認識として位置づけられます。
②ストレスログを付ける
ストレスを感じた事象を、横軸:変えられる/変えられない、縦軸:重要/重要でないのマトリクスの中に分類していく手法です。
下記のマトリクス内の詳細通りではありますが、自分で変えられる領域のストレスにのみ向き合い、自分で変えられない領域は「そういうものもある」と思って現実を受容しましょう。
これは私のnoteに何度か登場してますが、関心の輪ではなく影響の輪の中の領域内の事象に集中しましょう。
この考え方はアンガーマネジメントだけでなく、自分の感情に向き合い、人間関係における悩みを解消する上でも役に立つと思うので下記も再掲させていただきます。
③サクセスログを付ける
自分を褒めてあげたいことを記録していく手法です。
自信と余裕が自分の中にあると怒りという防衛感情が働きにくくなるため、日々自己受容をし怒りが発生しにくい身体にしていく手法です。
自己受容において精神面・体力面、両面の充実が必要です。
精神面では家族や職場以外のコミュニティを持ち、心理的安全性の高い空間に所属し、依存先を複数持っておくこと、
身体面では筋トレや散歩のような軽い運動でよく、睡眠もしっかりとることが重要です。
④ミラクルディを実践する
怒らないことによって生じる自分の期待するミラクルな素晴らしい日を想像した上で、とりあえず「怒らない自分」を24時間演じ切ってみる、という手法です。
表面的にでもとにかく24時間穏やかに振る舞い、「自分が怒らないと周囲はこんな反応をするのか」ということを体験するためのワークです。
自分が変われば他人も変わります。24時間でなくとも就業時間中だけなどでもよいですが、1度実践出来たら何度か実践してみましょう。
自分の気持ちの上手な伝え方を身につけるには
短期的対処法、長期的対処法を実践したとしても、怒ってしまうことはあるでしょう。
しかし怒ったとしても怒りを相手にそのまま伝えないコミュニケーションを取れるようにしてできた方が、後悔を減らせるでしょう。
そこで重要なこととして以下のことが挙げられます。
・常識・当たり前・絶対・いつも・必ず・~べきという言葉は避ける
・決めつけ・レッテルを貼るのをやめる
・大げさに言わない・オーバーに言わない
・相手を責める言葉は使わない
・怒りそうな時は主語を自分にする
先述の通り、時代、地域、業界、年齢、趣味嗜好によってそのコアビリーフは大きく変わるものです。「~べき」というコアビリーフは独りよがりな価値基準かもしれません。
相手の行動を自分のコアビリーフで判断し、責める言葉を使いそうになったら、主語を自分にしましょう。怒る時は「あなたが○○したから、こんなことになっている」というロジックになりがちです。しかし自分を主語にすれば想いが伝わります。「私は○○だと思っていたので、こういう状況で/こういうことを言われて、悲しい気持ちです」と言ったように。
またNOと言えずに後で自己嫌悪や怒りの感情が出てくるのなら初めに自分の意見をハッキリ伝えましょう。自分の意見を通すことがわがままなのでは?人に悪く思われるのでは?迷惑がかかるのでは?と思ってしまいがちですが、自分の主張を通すことと相手の立場を思いやることは両立できます。それを実現するのがアサーティブコミュニケーションです。
アサーティブコミュニケーションとは自分の想いを主張すると同時に相手の想いを聴くことです。
「あなたはこう思っているんですね。私はこう思っています。」という形で。この2つを考えながら攻撃的にならず素直に率直に自分の想いを伝えるようにできるよう練習していきましょう。
他者の怒りにはどう対応するのが良いか
では他者の怒りにはどのように対応するのがよいでしょうか。大事な観点は「怒り」は一次感情であるということです。
怒っている人がいたら、「なぜこの人は怒っているのだろうか」と考え、怒りの土台になっている一次感情に寄り添ってみましょう。
「この人は悲しいのかな?困惑しているのかな?虚しさを感じているのかな?」と一次感情を捉えて共感しましょう。
まとめ
怒りは反射的に生じるものではなく、自身の価値基準であるコアビリーフとの乖離を感じ取った際に表出するものであるため、コアビリーフの調整によって怒りはコントロールできます。
怒りは悲しみ・困惑・虚しさという一次感情からの防衛感情として表出した二次感情なので、まずは一次感情を捉え、批判ではなく提案の形で相手に返せるようトレーニングしましょう。
短期的対処法と長期的対処法は下記の紹介の通りですが、色々試してみて自身に合う継続できる手法を選択しましょう。様々な対処法はありますが、「当たり前・絶対・いつも・~べき」といった決めつけ/レッテルを貼るのをやめ、怒った事象についても大げさに言わず冷静に客観的な視点で振り返るという視点が重要だと思います。
アンガーマネジメントは一朝一夕に身につくものではないかもしれませんが、私も継続的に取り組んでいきたいと思います。
(短期的対処法ではコーピングマントラ・深呼吸を採用し、長期的対処法ではアンガーログを採用し、一次感情を捉えてアンガーマネジメントできるよう精進します!)
いかがでしょうか。一助となりましたら幸いです!^^