”ARCSモデル”でやる気満々研修へ!
研修をしばらく企画・実施していると必ず当たる壁があります。
受講者の態度が”やらされ感”で満たされ、意欲的な態度にならない。
自分でお金を払って参加する有料セミナーはそもそも受講者がやる気をだし、行動した結果なのでやる気がないという事はほとんどないかと思われます。
しかし、社内研修ともなると話は別です。
社員から要望された研修以外は本社が企画した研修であり、社員からすると”意味のない事をやらされている””本社の仕事に振り回されている”といったネガティブな意識が満載なのです。
我々研修企画者としては、社員の成長の為に自分の時間を大幅に割き、社内関係者の間を駆け回り、必死の思いで企画した研修ですので、社員のやる気のない姿を見ると、がっかりしてしまいますし、研修企画者の自信も無くなっていってしまいますよね。。。
そこで役立つのが学習意欲を引き出す理論 ARCSモデルです。
ARCSモデルは1984年にJ.M.ケラー氏によって提唱された理論です。ケラー氏は学習意欲に関する文献を調査し、4つの概念に分けられる事を発見しました。
それがARCSモデルです。
では、ARCSモデルの4つの概念を見てみましょう。
【ARCSモデル】
A:Attention(注意)
R:Relevance(関連性)
C:Confidence(自信)
S:Satisfaction(満足感)
つまり、「面白そうだな」と受講者の興味を引き、「これは使えそうだな」と自分の仕事に直接関わる内容だと認識させ、「これなら私にも出来るぞ」と自信を持たせ、「やって良かった」と満足感を感じさせる事が出来れば、受講者は自ずとやる気になり、積極的に研修に励むようになるという理論です。
何となくイメージしていただけましたでしょうか?
さらに理解を深めて頂くため、具体的な例を私の私見で挙げてみましょう!
Attention:注意
例① 研修タイトルをキャッチーにする。
例② ITやグッズを使う。
例③ 有名な企業での導入例を紹介する。
Relevance:関連性
例① 受講者の経験が活かせる課題である事を示す。
例② 研修内容が現場で生かされている事例を示す。
例③ 実際に現場で実行する為の計画書を作る。
Confidence:自信
例① 達成するべき目標を明確に示す。
例② 目標が受講者が少し頑張ったら達成できるレベル感にする。
例③ 目標を受講者自身でで決めてもらう。
Satisfaction:満足感
例① 目標を実現できたかどうか評価する機会をつくる。
例② 目標を達成した際にはマネージャーから受講者を言葉で褒めてもらう。
例③ 目標を達成した受講者を社内(受講者内)に共有して称賛の機会を作る。
いかがでしょうか?
私の経験上、最初はARCSモデルをあまり意識せず、インストラクショナルデザインに基づいて研修を組み立てていただいた方がいいかと思います。
意識しすぎてARCSモデルの要素を入れ込みすぎてしまい、研修が東京の電車の通勤ラッシュのようにすし詰め状態になってしまう恐れがあるからです。
ARCSモデルはあくまで研修の大枠が組み立てられた後の学習意欲要素のチェックや隠し味としての使い方が丁度いいのではないでしょうか。
ARCSモデルを上手く駆使して、ご自身も社員もやる気満々の熱い研修が実現される事を祈っております♪
参照書籍:J.M.ケラー 著,鈴木克明 監訳(2010)「学習意欲をデザインする」,北大路書房