複数のアートが織り重なる -須藤玲子[NUNOの布づくり]@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、再び。
本稿は、企画展の須藤玲子[NUNOの布づくり]について。
美術館入口のインスタレーション
まず、美術館正面の「作品」が目を引く。これは、展示の一作目、インスタレーションと捉えていいのだろうか。
JR丸亀駅前の広場から観るとこんな感じ。
巨大な布(カーテン)?が風に揺れる。まるでこれから、舞台がはじまりますというかのような。
美しく、そして飽きないパブリックアートだ。
この入口展示からも「ただの企画展ではないのだろう」という予感があったが、そのとおりだった。
布、のバラエティ
最初の展示では、わたしのような初心者にもわかる、布とはなにか、が、さまさまな角度から示される。
手触りを感じるため、あえて見本の布を触らせてくれる展示もあった。
ピンで固定された布の下に、解説文がある。
織機を展示+映像+音で再現
会場には、さまざまな「機械音」が響いていた。隣の展示室で聴いていたときは、本物の機械を稼働させているのでは、と思ったほどだ。
よく見れば、天井から画像が投影された、これもインスタレーション。
展示+インスタレーション+映像→リアリティ
さらに凝っているのは、今まで紹介してきたよ要素のかけ合わせだ。
例えば、このデザイン画。
完成して製品になったのはこちら。
織機は、こんなふうに再現、展示されている。
ミシンの針は、一瞬をとらえたかのよう。
さらに、その奥の展示室では、実際の布づくりの工場のようすが、ドキュメンタリー映像として流されている。
カットされリボン状になった布を、職人がきれいに並べていく。
映像を観て、再び展示に戻れば、「そういうことか」という気づきもある。
なんと工夫された展示だろう。わたしのような予備知識のない者も、「面白い!」に動かされて、何度も行き来してしまった。
本稿で紹介しているのは一例だが、それが、数多くのパターンで示されているのだ。興味のある人なら、さらにさらに、引きこまれるだろう。
これら完成作品の一部は、販売もされていた。
「好き」を究めた作家の言葉
展示の最後は、作家のことばで締めくくられていた。そして、布たちが実際にどこで観られるのかの説明も。
また本企画展は、猪熊弦一郎現代美術館の企画とも連動している。
その話は、別の記事にて。