【瀬戸芸2022 秋】男木島(おぎじま)アート作品を巡る[前編]
瀬戸芸、秋の部(11/6まで)。よく晴れた朝、高松港からフェリーで40分の男木島(おぎじま)に渡った。
静かな砂浜と、急な坂道を登り切ったあとの海の景色が美しい男木島。本稿では、瀬戸芸のアート作品を紹介していく(すべては周りきれていないので、続きは10月下旬に再訪してから)。
■男木島の魂 ジャウメ・プレンサ
まず、港の案内所そのものが作品だ。
文字のシルエットが旅人になにかを投げかけ、知的な問いかけをもらった気分になる。そして屋根の狭間から望む空と海とが本当に美しい。
■タコツボル TEAM 男気
しっとりとした雰囲気の「男木島の魂」の隣に、突如として出現するのが、このアートだ。TEAM 男気は「ちーむ おぎ」と読む。なるほど。
瀬戸芸の魅力でもある、地元の伝統×アート、という文脈に則るだけでなく、さらに島の子どもたちの居場所にしてしまおうという、実用も見越した貪欲な作品なのだった。
男木港から「歩く方舟」目指して
男木島は何度か訪れているのだけど、今回は港から少し離れた場所にある「歩く方舟」(山口啓介)をじっくりと鑑賞したいと思っていた。屋外アート作品を鑑賞しながら、「歩く方舟」を目指していく。
■漣の家 眞壁陸二
海を右手に見ながら、ときに集落の中を歩いていくと、やがて視界が開けていく。目の前に現れるのがこの家だ。
■歩く方舟 山口啓介
「漣の家」から先は、海沿いの道となる。
潮の引いた入り江。遠くに作品が見える。道路でなく、入り江を歩くことにした。磯の香りが強くなる。
それにしても、この、澄んだ青色。瀬戸内を訪れると、こんなにたくさんの種類の青色があったのだと気づかされる。
「歩く箱舟」には、やはり、ここにずっと立っていたかのような不思議感と、周囲の風景との調和があった。来てよかったと思う。
■No.105 ワン・テユ(王德瑜)
「漣の家」まで戻り、急な上り坂を進んだ先にあるインスタレーション作品。空気で膨らませた巨大な風船のような物体。形が常に変わるこれを、作家は海に見立てているという。
靴を脱いで、中に入る。
海底から「波」の様子を眺めると、ときにそれは大きく拡張し、ときに急に縮小してきて、まるで押しつぶされるような恐怖も感じる。そんな自分の「素」の反応も興味深い。
こんなふうに、いきなりなにかの状況に巻き込まれる、という作品は、脳を心地よく刺激してくれる。
■青空を夢見て レジーナ・シルベイラ
集落の中には、学校の体育館の壁面を使った作品も。
■瀬戸で舞う 川島猛とドリームフレンズ
一度港に戻り、そこから坂を上って、この古民家へ。
坂道に息を切らしつつ、作品を堪能
男木島は本当に坂が多い。そして坂道の途中には民家が軒を連ねる。案内板を頼りに、ときには迷いながら、迷路のような坂道を上がって下がって、作品に辿り着くのも、この島の魅力だ。
わたしは1作品の鑑賞時間がかなり長いこと、また体力の問題もあって、男木島は2回に分けることにした。次に訪れるときも、こんな快晴であることを祈って!
↓ 瀬戸内国際芸術祭2022についての記事は、下記にまとめています。
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