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私たちの日常に彩りを添えるフォロワーシップの未来

フォロワーシップ論のフロー


フォロワーシップの生みの親とも言える、米国のメアリー・パーカー・フォレットは20世紀初頭にマネジメント哲学者として活躍した人物です。フォレットは、リーダーシップとは、一人の人間に求められるものでも人に対して権力を行使するものでもなく、組織全体の利益のために統合して高めていくもので、課題に気付いた人がリーダーとなり、リーダーを固定せず状況に応じて交代していくべきだと主張しました。
 
1970年には米国のロバート・グリーンリーフが、やる気も能力もあるメンバーに課題が共有されている場合、リーダーは命令や指示をせず、支援する側に回るべきだという「サーバントリーダーシップ論」を提唱しました。このサーバントリーダーシップ論が、その後の「フォロワーシップ論」につながっていきます。
 
フォロワーシップ論の第一人者は、mote各稿でも紹介されているロバートケリーです。ケリーは、フォロワーシップを「組織や上司と協働する意識と行動」と定義し、「誠実な貢献力」をベースに「建設的な批判力」を発揮するフォロワーを協働創造型フォロワーと位置付けました。
 
そして、日本におけるフォロワーシップ論の第一人者は、松山一紀氏です。ちなみに私とは、フォロワーシップ研究会での協働関係です。彼は、フォロワーとしての「自我」に注目し研究をすることで、日本型フォロワーシップ論を確立しています。
 
「自我」には「従我」と「観我」が存在し、従我は文字通り従う「我」、観我は客観的に自身を捉える「我」のあり方のこと。
 
組織での初期段階では、従我を発揮せざるを得ず「受動的忠実型フォロワー」に留まります。やがて組織内での方針や上司との関係性から「観我」が育ち、自身の判断によって行動を起こす場面が増え「能動的忠実型フォロワー」となります。やがて、これらの相反する「従我」と「観我」が重なりをもって成長していくことで、プロアクティブ(統合)型フォロワーへと発展するというものです。
 
これらのフォローシップ理論に共通することは、誰もがフォロワーとしての側面をもっており、リーダーシップを否定する立場を取らず、人間としてのフォロワーの立場を尊重している点にあります。

フォロワーシップの鍵を握る「関係性マネジメント」


「個の幸せ」を追求する時代になったことが、フォロワーシップへの注目度が高まる背景にあります。個が幸せを追求するには、リーダーが集団を導いていくことに期待するフォロワーではなく、一人のフォロワーとして自身のフォロワーシップを見定め、対応する能力が求められます。
 
自身のフォロワーシップを見定めるということは、フォロワーシップが日常の中で展開される場面には、その主体であるフォロワーと、対象となる「人」「組織」「社会」などへの関係性のあり方が重要です。
 
フォロワーは、社会で起こっている、あるいは起こりうる未来予測の情報をキャッチアップし、自身のフォロワーとしてのポジションをイメージします。また、所属する組織である企業などの経営理念や方針、組織目標などから自身の立ち位置を定めます。そして身近にいるリーダーからの指示や命令、時には期待を受け止め自身のフォロワーシップ行動を決めます。また、フォロワー同士の関係性の中から自身の立ち位置を決めています。
 
これら、私たちがごく自然に自身のポジションを取るという行為に、フォロワーシップという視点を盛り込むことが、幸せのあり方やWell-Beingを追求する上で大切になってきます。この「人」「組織」「社会」と、自身の関係性をどうマネジメントしていくのかが、これからの時代に「幸せを実現する」上で大変重要な要素の一つになるでしょう。
 
次項では、この「関係性マネジメント」について詳しく観ていきたいと思います。

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