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短歌作品 在処(5首)
在処 生田亜々子
削れるにまかせるものを沈みゆくガムシロップを眺め補う
傷だって把握していたはずなのに なんて、酸っぱい、オレンジ、冷たい
たましいを臓器の内に数えゆく子ら いつの間に降り出した雨
口笛で一日を暮らす 呪詛となりそうな言葉の群れをなだめて
形なきもののありかを思いつつ対岸にいる人に手を振る
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初出:
一九七一年/昭和四十六年生まれ・女性限定歌人集団「牡丹の会」アンソロジーペーパー『ないがしろ 71ga46 第2号』 2015年