ピアノレッスンにて本場の洗礼を受けながらも…ワインに溺れ隊はしっかり活動
Buonjiorno~♪
学校の扉を開けると、まるでオペラの一節かのような、
insegnante(先生)の美しいハイトーンの一声が出迎えてくれた。
教室には世界各国から集まった生徒の皆さんが、
まるで私の姿を鏡に写したかのように、
皆同じように目をキラキラ輝かせ、ドキドキワクワクした様子でテキストに目を通している。
軽い自己紹介の挨拶を交わすと、
近場のイギリスやドイツからの若者、
同じ日本からの青年に、韓国からの可愛い女の子に、
なんとアルゼンチンからの50歳のマダムまで!
老若男女問わず、皆イタリアが大好きで、この地で多くのことを学びたいとの思いから集まっていることを感じ、
私は益々これからのイタリアでの生活が楽しみで仕方なくなった。
勿論、会話は皆それぞれの母国語がメインのため、コミュニケーションを図るとなると、
英語か、お互いにつたないイタリア語でどうにか・・・
不安はあったが、それ以上に楽しい思いの方が先行していた。
そして…気持ちの強さでどうにかなる、これ本当。
語学の授業は初日から想像以上に進む速さとレベルが高く、
日本で齧る程度にしかイタリア語を学んでいなかった私は
少々パニックになりながら必死について行く状態だったが、
各国から来ている皆もそれは同じで、
互いに分からないことをフォローし、助け合いながら和やかな雰囲気で授業が進んだ。
やはり、さすがはコミュニケーション力の高い外国の方々。
初対面でもすぐに打ち解ける技の高さは私の数千倍上だった。
更には、最初の授業が終わってすぐにリンゴを丸かじりしているドイツ人の美女の姿に衝撃で、2度見、いや3度見はしたが、
そうです、ここは海外の、それもイタリアだ。
日本の学校を基準に考えることは捨てようと、冷静になった。
そして、そんな外国の人々の様々な習慣や日常の違いを見るのが楽しみの一つとなった。
午後からは、心待ちにしていたピアノレッスン。
本場イタリアのオペラ学校で指導をし、現在もオペラの舞台で伴奏を行っているという
プロ中のプロの音楽家の先生によるピアノ指導だと・・・
学校へ行って知らされた。。。
曲の一小節、一音まで、
音の出し方、指のタッチ、
なんなら腕の力の入れ方加減まで指導され、、、
8ページある曲のうち、一時間で進むのはほんの6小節と…
一音一音にかける思いの強さの熱量よ。
先生も私も熱くなり過ぎて、頭から湯気が出ていたのではないかと思うほど、
初日から本場の洗礼を受け、ヒートテックは汗びっしょり、靴は蒸れ蒸れで
私だけ常夏状態だった。。
そんな厳しいレッスンの中でも、ごく稀に私でも良い音が出せる時があり、
本当にごく稀にね…
そんな時に先生が発する
「Giusto!!!」
が聞けた時は快感だった。
私の隣で、体中で歌うように、時に踊っているかのようにリズムを取りながらピアノ指導をする先生につられて、
気づけば私も普段ではありえないほどに感情を込めて体いっぱいにピアノを演奏していた。
さすがはイタリアの音楽家だと心から感じ、
想像以上に厳しいレッスンではあるが
この貴重な時間を一秒たりとも無駄にしたくはないと思い、
次のレッスンへの意欲が湧いてきた。
何より、イタリアの街で、窓からアルノ川を眺めながらピアノが弾ける
またとない贅沢で幸せなこの環境で、得られるものは全て吸収し、身にしていきたいと強く思った。
…とは言うものの、やはりレッスン後はクタクタ。
そんな時、学校帰りに立ち寄ったトラットリアで飲むワインは格段に美味しく、
疲れも癒える至福のひと時だった。
勿論部屋に戻ってからもしっかり飲みます。
普通にスーパーマーケットで売っているワインも最高に美味しくて
これはどんどんイタリアの沼にハマっていくのも仕方ない。
“ASTI”ワインも仕入れ完了!
余談ではあるが、このワインが現在飼っている猫の名前の由来だ。
これくらいで私のお酒好き加減も分かってもらえただろう。
イタリアの地を訪れて以来、ワインに溺れ隊を勝手に立ち上げ、一人で入隊し活動中だ。
本当にイタリアはどこを見ても、何を取っても、私にピッタリの場である。
そんなこんなで、
初っ端から盛りだくさんのイタリア生活をスタートさせた。