『がんばっぺし』の「ぺし」のおもしろい話
今回は方言の話です。
みなさんはタイトルの「がんばっぺし」という言葉を聞いたことがありますか。
東日本大震災があって、その時に聞いた、という人もいるのではないでしょうか。
私の故郷の方言で、「がんばっぺし」はとても馴染みのある言葉です。
そしてこの「ぺし」についておもしろい発見があったので共有したいと思います。
「ぺし」「べし」の意味は?
まずは「がんばっぺし」の意味から。
意味は「がんばろう」です。
動詞の最後に「ぺし」や「べし」をつけると「〜しよう」という意味になります。
なので例えば、
がんばろう→がんばっぺし
寝よう→寝っぺし
食べよう→食べっぺし
という感じになります。
簡単ですね。
最近子どもに対してよく言っています。
「早く寝っぺし」って笑
方言って意識しなくても出てくるんですよね。
不思議ですね〜。
じゃあ、これはなんと言いますか。
飲もう→?
行こう→?
飲っぺし(のっぺし)?
行っぺし(いっぺし)?
東北の人ならわかるかな?
答えは
飲もう→飲むべし
行こう→行くべし
です。
ご飯のあと薬飲むべし。(ご飯のあとに薬を飲もう)
明日は大雪だから早く学校に行くべし。(明日は大雪だから早く学校に行こう)
みたいな感じで使います。
「飲む」「行く」は「ぺし」じゃなくて「べし」なんですよね。
そこで、ふと思いました。
なんで「べし」と「ぺし」で違うんだろう。
そして気づきました。
ヒントは動詞です。
「ぺし」と「べし」の使い分け
「ぺし」と「べし」の使い分けは動詞によって異なることに気づきました。
①「◯◯る」の動詞
まず「ぺし」ですが、動詞が「◯◯る」で終わる動詞は「ぺし」使います。
なので
がんばる→がんばっぺし
寝る→寝っぺし
食べる→食べっぺし
「る」が「っぺし」に変わります。
「ぺし」じゃなくて「べし」も使えます。
人によっては「がんばるべし」「寝るべし」「食べるべし」言う人もいると思います。
母は「寝るべし」って言っていました。
ただ、個人的には「ぺし」のほうが自然な感じ?よく使われている気がします。
②「◯◯る」じゃない動詞
「◯◯る」じゃない動詞もありますよね。
飲む、行く、書く、聞く、などなど。
これらは「ぺし」ではなく「べし」使います。
飲む→飲むべし
行く→行くべし
書く→書くべし
聞く→聞くべし
この場合、「べし」を「ぺし」で言い換えることはできません。
飲む→飲っぺし(のっぺし)
行く→行っぺし(いっぺし)
書く→書っぺし(かっぺし)
聞く→聞っぺし(きっぺし)
とは言いません。
この方言を話す私たちは自然と使い分けているんですよね。
方言なので学校で勉強したり、親から教えてもらったわけじゃありません。
自然に身についているのです。
不思議ですね〜。
方言にも活用ルールがある
方言にもこういう活用のルールがあるなんてびっくりですね。
私たち方言を使う人は無意識に使い分けています。
すごいですよね。
母語話者のこの能力。
能力というか、昔からそうやって使ってきたから「がんばっぺし」「飲むべし」が自然に口から出てくる。
いちいちこのルールを思い出してはいないし、ルールがあるって知ってる人の方が少ないと思います。
ただ、日本語学習者やこの方言使わない人は不思議に思うかもしれませんね。
そういうとき、さらっと説明できると「おお〜👏」ってなるはず。
私はいまだに聞かれたことはありませんが笑
これからも方言ネタ書いていこうと思います。
では👋
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