キラキラにもメンヘラにもなりきれないまま、春は
TWICEが歌うOne More Timeみたいな女の子になりたかった。
帰宅したというのに、上着も脱がず、テレビもつけず、誰もいない静かな部屋で、昨夜見た情熱大陸を思い出しながらひとり思った。
それ以外はなんにも考えられないくらい、ただ、すっかり疲れていた。
Gimme gimme more 君と歩いて行く
One more time gimme gimme
One more time O-oh 手を繋ぎ見える全てが好き
one more time 誰より One more time O-oh 輝くの
2人ならHappy 幸せがTWICE
もう隠さない素直なTruth
最高にLucky きらめくのtwice
体中に走る coolest groove
番組でフューチャーされていたTWICEのリーダーは、お人形さんみたいなぱっちりしたおおきな目とまんまるおっぱいで、まるでキューティーハニーとかルパン三世の不二子ちゃんみたいな強さと美しさを携えた女の子が画面の向こうからわたしに微笑みかけてくるようだった。
なんて可愛い女の子たち。
みんなキラキラしていて愛に満ちた世界にいるように見えて、自分でも知らぬ間に気が付いたらポロポロ泣いていた。酔いどれの頭のまま見ていたからか、自分が「そんな女の子」に辿り着く事はきっと永遠にないのだと思えて、ただひたすらに泣けてしまうのだった。
彼女らの孤独や寂しさすらも、なにひとつ考えもしないまま泣くのは自分勝手だと知りつつも、そうする他に術などない。
自分の人生を誰かやなにかと比べるつもりはないし、卑下もしていないつもりだ。このへっぽこ人生がどこまで通用するのかはわからないにしても、あくまで自分の人生の舵は自分で持つこと以外に選択肢はない。
今見えているものが全てじゃないとわかっているけど、それでも、考えてしまう。人生が、もっとシンプルだったらいいのに。
好きな人を、ただ好きでいること。それだけでいいはずなのに。何一つ当たり前じゃないからこそ、ひとつひとつを慈しみたいと願う心は、満たされるどころかどんどん乾いてゆく。幼子のように地団駄を踏んでは大切な人を困らせている。
自分の身体にも関わらず、生理ひとつでも順当にきてくれないし、些細なことでいとも簡単に悪態をつけてしまう自分が心底嫌でたまらなくなる。そんなふうに生きていたくはないのに、どうにも苦しくて仕方ない。
そう簡単に神様は犯した罪を許してくれないような夜だ。
だけども春は、みんな平等にやってくる。
どんな悲しみ色の空にも桜は花開いて風に揺れる。
あまりにピンクの花びらが悲しげに揺れてみせるから、ねぇ、どうやったって泣きたくて仕方がないよ。