見出し画像

ハワイアンズに行ってきた話


ほとんどシャッターがしまったフードコートに怒声が響く。

「閉山の影響で、労働者2000人を解雇させてください。
でもここにハワイアンズという施設を作って再雇用をいたしますから。すみませんでした。
会社も生き残らないといけないんです。」

「なんだそれ!俺は30年、死ぬ思いで山の中で働いてきた。
仕事っていうのは、ツラくて命懸けでおこなうもんだと思ってた。
それで紙切れ一枚でおしまいかよ。
ハワイアンズ?こんな寒いところにハワイなんかできるわけないだろう!
それで何人再雇用なんだ?」

「500人です。
フラダンスをしてもらうので、炭鉱労働者の娘さんも雇用したいです。」

映画 フラガール


19時、薄暗く消灯された館内のプールで泳ぐ人は指で数える程度になり、人がほとんどいなくなった広い施設の隅っこで、私と子どもたちは食い入るようにiPhoneの小さい画面を見つめた。

「ねぇ、どうして辞めるの?どうしてダンスしたらお父さんに殴られるの?」
そう尋ねる子どもに噛み砕いて説明をする。

「福島のいわきは昔、石炭を掘って生活していたんだよ。
石炭は黒いダイヤって呼ばれてて、山の中に入って掘ればお金になった。
この作業はすごく大変で危険なんだよ。

石炭は今ではほとんど日常でみられないけど、かわりに車を動かすガソリンの元になってる石油は海外から輸入に頼っててね、

だから何かのきっかけで流通を止められたり、値上げされてしまったら大きな影響を受けるんだ。
オイルショックってわかるかなぁ

昔はエネルギーを産む役割は石炭だったのだけどね。産業革命っていう機械を使って仕事をする最初の段階で、世界中どこでも取れる石炭が重宝されたんだ。

産業が無くなったり縮小された時は人が路頭に迷うから、時代の変革期にはこういう事は起こってきたんだよ。

あと、時代的に女性は肌を見せなかったの。
モンペっていうズボン履いてる人が多いよね。

大切に娘を育ててきたのに、生活のためとはいえ半裸で娘が踊る事が家族は許せなかったのかもしれないね。
まだフラダンスを知らない人たちからしたら、セックスワーカー、、性労働者のイメージがつきやすいから」

画面には、穴の空いたふすまと新聞紙を壁紙のようにベタベタ貼った狭い室内で、幼い兄弟たちが姉の衣装を褒めている姿が映し出されていた。

エネルギー自給率

石炭から石油に変わる時代の流れに乗った現代では、持続可能な環境への配慮と、進歩が後退することを許さない民意との間で板挟みになっている。

エネルギー政策において重要なポイントは、「3E(エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)+S(安全性)」であり、これらを同時に満たすことです。
とはいっても、ひとつのエネルギー源で「3E+S」を完全に満たすことは難しいため、各国はさまざまなエネルギー源を組み合わせて、戦略的にエネルギー政策を決定しています。

経済産業省 資源エネルギー庁
あらためて考える、日本における「石炭」の役割より


頭の痛い問題を、より進歩した科学技術を持って対抗しようとしてる。
しかしながら日本はエネルギーを自国で賄えない先進国でもあるんだ。
国産資源と呼ばれる一次エネルギーの化石燃料はほとんど産出されない。
あぁ、オイルさえ出れば税金すら無く優雅に暮らせるのにね。
けれど、努力はしなくなるだろうな。

日本はエネルギーを大量に使って生きる先進国だが、ほとんど輸入に頼ってる。
外国と仲良く残虐なHAPPY TREE FRIENDSしてないと生活ができなさそうだなぁ


しかも島国だから他国とパイプラインでエネルギーの受給ができない弱さ。

石炭は産出されるけど、それでも温室効果ガス(GHG)が多く出る石炭は環境が持続しないから使い続けるのは難しいだろう。

現在日本は質の良い石炭を主にオーストラリアから輸入していて、それを火力発電所や酸化鉄から酸素を取り除く還元剤として利用している。

オーストラリア石炭ありすぎるなぁ。
ノルウェーはガスでまくり。
日本はそれなりの国土があるのに悲しい結果。
国内には石炭を約1ヵ月間分備蓄をしているんだって。


2021年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、石炭は化石燃料の中でもっともCO2排出量が大きいものの、調達にかかわる地政学リスクがもっとも低いことや、熱量当たりの単価も安いことに加えて保管も容易であることから、現状において安定供給性や経済性に優れた重要なエネルギー源であると評価されている。

ペットボトル飲料よりも安いガソリンは日本を含む先進国が使わなくなったところで、後に発展する他国が積極的に使うだろう。
化石燃料よりも安くて環境によくて手軽さがあるエネルギーが生まれないかぎり、世界は今よりも良くならないんだ。

ショー

「これから20:30からのショーをはじめます。
全席指定席となりますのでお手持ちのチケットをご参照ください」

がらんとしてた館内のどこかから、人々がゾロゾロと集まってくる。
併設されたホテルで休憩でもしてたのだろうか。

事前予約の段階で最前列は埋まってしまっていたので、2列目に腰掛ける。

バズーカみたいなカメラを構えたおじさんたちがフラガールに熱い視線を送っている。
場面がファイヤーダンスマンに変わった瞬間スンッとカメラを下ろしている姿は本能に忠実で、この人たちのおかげで女性に需要が生れるのだろうと思った。

ハワイアンズ営業10年後の1976年、常盤炭鉱は完全に閉山され、延べ4400人が解雇された。

40年間でハワイアンズの舞台に立ったフラガールは318人である。

うっすら腹筋の割れたペタンコのお腹と大胆な腰の動きが美しいダンスが、たくさん練習した努力を証明していた。

おわり

いいなと思ったら応援しよう!

aaa
本が欲しい