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短編

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心療内科
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#小説

空想短編📚透明人間

僕は世に言う引きこもりだ が、奇妙な感染症のおかげで 堂々と引きこもりをする事が出来る ゲーム三昧の日々 けれど、そうなるとかえって 外に出たくなる そんなある夜 僕の心に声が聞こえて来た 「君を透明にしてあげる。夜だけね。」 それは、好都合だと思った、 透明人間は誰もが憧れるのではないか。 夜になり本当に透明になって外に出た ああ、誰も僕に気づかない やったー! どんな所にも行ける 閉まってはいるがどんな店も行けた、真っ暗な公園も、 どこまでもどこまでも 朝になるとぐ

心療内科

暑い日が続いていた そんな中、黄色い尖り屋根のその病院は、 細々と診療を続けていた 中年の婦人ミスブラウンが、 診察に来た。 「初めてだね。今日はどうしました」 医師は聞いた。 ミスブラウンの瞳には涙が薄っすらと浮かんでいた。 「あの、出て行ってしまったのです。」 「あ、家出か、誰じゃ」 「くもこです」 「珍しい名前じゃな、お嬢さんかな」 「はあ、いえ」 「ほう、親戚の方かなんかの?」 「あの、昨日までは壁にいて話かけると親身に私の話を聞いてくれて