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新しい刑事ヒーロー現る

米澤穂信さん『可燃物』
群馬県警本部捜査一課の葛(かつら)警部が主人公のこの短編集。
ちょうど長野県の警察を舞台にしたミステリを書いているので、警察組織のことや肩書き、呼び方など資料にさせてもらおうと手にしたのですが、面白すぎて。
調べながら読むのは興を削がれるから、これはもう再読決定です。

二作目の「ねむけ」 こういう意味のある偶然が創るドラマ、大好きです。
そしてラストを飾る「本物か」も鋭い作品です。

全編を通じて葛警部のキャラクターが魅力的で、それが五つの短編を通した背骨になっているようです。
『満願』(私は「万灯」が一番好きです)を思い出しました。
横山秀夫さんの初期の短編もイメージが重なります。

「好書好日」に米澤さんのインタビューが掲載されていました。横山さんの小説を参考にしたと話されていて、間違った読み方ではなかったかなと思いました。

クールで独特の洞察力に長けた葛警部はどのように成長していくのでしょう。これは『隠蔽捜査』シリーズの竜崎を追いかけていた頃のような心持ちです。 とにかく続編、大期待です。

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