ストレス対策にリフレーミングの手法を取り入れる①:PSWの福祉コラム
こんにちは!PSWライターのりくとんです。先日ストレスチェックの記事を書いたつながりで、今回はストレス対策(ストレスコーピング)について取り上げていきたいと思います。
今回取り上げるストレスコーピングは、「リフレーミング」という手法です。リフレーミングとは、あるものに対する概念(フレーム)を「re」する、再構築するという意味ですね。簡単に言えば「考え方を変えてみようよ!」ってやつです。言うだけ簡単。
また、「お前ソーシャルワーカーじゃないのかよ!」という声も聞こえてきそうですが、一応、端くれながら心理士資格保有者です。(安心して!)それでは、始めて行きたいと思います。
そもそも「フレーム」とは
まず、そもそものフレームについて定義します。フレームとは、『あるものごとに対しての「捉え方」「枠組み」』のこと。「○○といえば」という個人個人が持つ概念ですね。
人間は物事を「評価をする」生き物です。「それ」が良いものか、悪いものか。好ましいか、好ましくないか。接触したいか、関わり合いになりたくないか。この「評価」を「フレーム」と考えればわかりやすいと思います。
評価基準の多くは「自分の経験」に影響を受けます。例えば「虫は嫌だ」というフレームがどのように出来上がるのかを考えてみましょう。虫嫌いの母から「虫は嫌い!」と聴き続けた刷り込まれ体験があるのかもしれませんし、蜂に刺されて死にかけたとか、何か強烈な体験をしたのかもしれませんね。
このように、その「評価」に至るまでの積み重ねは人によって色々ですが、多くの体験の積み重ねを経てあなたのフレームは出来上がったわけです。
「リフレーミング」とは
リフレーミングとは、その名のとおり「私のフレームを再構築する」という試みです。もともとは家族療法(家族を対象とした心理療法)の用語で、物事の見方、捉え方を変えていくことを意味します。
例えば「半分水の入ったコップ」に対し、「もう半分しかない」と捉えるか「まだ半分もある」と捉えるかで、思考、感情、行動、結果は変わってきます。「もう半分しかない」と捉えれば、焦燥、不安、行動の萎縮につながりますし、「まだ半分もある」と捉えれば余裕、積極性、行動性の向上につながるでしょう。
リフレーミングとは、自分だけではわかりにくい自分のフレーミングの癖(色眼鏡ともいいますね)を、人の力を借りて、違うメガネをかけてみたり、メガネの歪みの少ないところで眺めてみたりすること。外的要因は変えないまま、自分の視点を変え、物事の新たな捉え方を探る試みです。
リフレーミング≠ポジティブ思考
リフレーミングとポジティブ思考とは厳密には異なります。これは「カウンセラー側が気を付けないといけないこと」として言われているのですが、ここを間違うと「リフレーミング」ではなく、ストレスから目を背けさせるだけの適応機制「抑圧」(※)につながってしまいます。
例えば、大災害で「自分ひとり生きてしまった」と話す人に、「生きててよかったね!」なんてリフレーミングしようものなら、『悲しむな、生き残ったことを喜べ!』というメッセージに捉えられてしまいますよね。
リフレーミングとは、その人の悲しみ、絶望、苦しみ、痛みを抑圧するものではありません。その感情は感情として保持したまま。不透明絵の具で全く上書きするものではないのです。
その①のまとめ
さて、今回のコラムでは「リフレーミングとは何か」「リフレーミングするうえで気を付けないといけないこと」など、リフレーミングについて書いていく上での基礎知識的な部分をまとめました。
次回のコラムでは、「自分のストレスコーピングにリフレーミングを使う場合」の注意点や、実際のリフレーミング事例、ちょっとしたこぼれ話について記したいと思います。