幸せを伝えるホームレス 第2話 環境
本編に入る前に
皆様へのお願いを以下に示します。
※物語の概要
ある日突然妻と子どもに家を出て行かれた主人公覚。訳もわからず川辺に立ち尽くしているとあるホームレスに話しかけられる。そのホームレスは「妻と子どもを連れ返してやる」という。疑いながらも信じる事に決めた覚。そんな覚が妻と子どもを取り戻す過程で自分の幸せに気づく物語。
著者/ゆう より
この本は覚が妻を取り戻す過程で、人生について考え、その過程で本当に大切なことに気づき、「幸せの在処」を見つける物語です。
今、幸福感の少ない人には、ぜひ最後までご一読願いたいです。
第2話 環境
「んふふ〜」
と鼻歌がお風呂から聞こえてきた。
覚は結局あのあと、
家に上がらせお風呂を貸すことになった。
「いや〜!しかし風呂ってのは最高だなぁ!!」
「うるさい!声がでかいですよ!何時だと思ってるんですか!」
現在、時刻は深夜1時。
もう当たりは寝静まっている頃である。
「今日、泊まってもいいんだよな?」
「(泊まってもいい?いや、疲れてるんだな聞き間違いに違いない)」
「泊まってもいいんだよな?」
「..........は?」
「いや、は??じゃなしにどうせお前しかいないんだし、いいだろ?」
「いやいや...」
.
.
.
5分後
.
.
.
「はい、これ寝巻きです。今日はここで寝てください。」
結局根負けした覚は
1日家に泊めることにした。
「(なんで俺はこんなおっさんを家に泊めてんだよ。)」
「でもお前、やっぱ幸せもんだな。」
「急にどうしたんですか。」
「だってあんな最高な風呂に毎日入れて、洗濯されたこんな気持ちのいい服に着替えられて、布団も枕もあって、何より雨風気にしないで家に住めてるんだろ?こんなの幸せ以外になんて言う?」
「........」
覚は黙って考えていた
「オレみたいなホームレスはこんな生活は贅沢以外の何物でもないしよ。世界を見たらこんな高水準な暮らしできねえ国も沢山あるんだぞ。」
「それにこんな生活が出来ているのはさっきの飯同様、多くの人たちの支えがあってこそだろ?」
「多くの人の支え...」
「たとえば、建築士の人や大工さん。服のデザイナーにそれを作る人。挙げだしたらキリがないほど多くの人に支えられているだろ?」
「その有り難み絶対忘れるなよ?」
覚はまた黙っていた。
「当たり前は当たり前じゃない」
「それを肝に銘じろよ。じゃあ寝るからな。」
と言ってホームレスは瞬く間に寝ていた。
覚も床につき、さっきの言葉を思い返していた。
「当たり前は当たり前じゃない...か。」
「この生活がある事こそがオレにとって幸せだったのかな。」
そう考えながら眠りについた。
3へ続く。
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