【論詩】フィルター
世界は必ずフィルター越しに認識される。
必ず何かしらに検閲されると言っても良い。
それはTVの放送コードであったり、
脳内のお花畑というスラングであったり、
カエルが見る世界や猫が見る世界の差異、
生物学的な認識機構の多様性であったりする。
物質として個である限り必ずそれを有す。
その万有のフィルターに孤独を連想するとき、
私のフィルターは常に憂鬱を 濾滓とする。
濾し採られた憂鬱は皮肉にもそれ自体が、
世界を濾し採るフィルターを形成するから、
遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がって、
地球を押し潰すのだ。
(一部『ガンダム逆襲のシャア』より)