【詩】球体の動物(幻獣詩篇:5)
夜空に震えるように瞬く初冬の星々
零れ落ちそうなそのひとつひとつは
それぞれ世界の一要素を司る
球体は最も安定した状態である
球体は押し並べて生命である
球体は始点と終点の無い円環である
天上の球体はさもあらん
私たちの足元もさもあらん
それらを構成する粒子もさもあらん
冬支度を済ませた月の輪熊の暗喩
それをスコープ銃で狙い定める眼球
そして爆ぜた火薬に押し出される鉄砲玉
押し並べて陽子である
押し並べて真摯である
押し並べて天使である
球体の楽園に生きよ
兄弟姉妹
恋人たち
受精卵