見出し画像

【論詩】価値のある差別

酩酊する彼女の白い肌を白く汚したベッド
彼女から矜恃以上の何もかもが失われたとして
その全てを取り返す事ができるそんな夢物語を
信じられるようにするにはどうすれば良い?

人並みに抵抗する機会すら掴めなかった
絶望と彼女への偏見に対する憎悪と諦念と
立ち尽くす彼女をどうやって否定できる?

-部屋に上がらせた時点で同意したと同じ事だ-
-彼女が性的に唆る格好をしてたのが悪いのだ-

-泣き寝入りする事無く戦う準備をしましょう-
-貴女はサバイバーの代表です私達の希望です-

差別の恐ろしい根深さは行為自体では無く
世界に設定されたデフォルトだという本質だ
常識人の言説がそれを往々に肯定するのだと
いつになったらわたしたちは……

本質を憎み本質を熟知し本質を踏み越える
「世界に価値のある差別が生まれんことを」
立ち尽くす彼女の右側にひざまずきわたしは祈った

いいなと思ったら応援しよう!