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詩:『鶯谷↔日暮里』
『鶯谷↔日暮里』
下半身に違和を感じ
悲鳴を呑み込んで沈黙し
列車から逃げ出した鶯谷駅
得体の知れない数分間
可能性に過ぎなくとも
綿密に計画されたものなら
恐ろしいことだけれど
全ての人格が内包する
負のイマジネーション
実際に行われなかった
可能性の膨大な識閾下
現実に表出しない性癖
日常の偏執的な想像力
その如才なさが何者かによって
真っ直ぐ暴き上げられたとき
わたしの精神は耐えられるか
駅のホームに花を添えた
人間性の正体を見極めたい
都市を彷徨う飢えた肉食獣が
獲物を探す姿と和解したい
ドア横のわたしに寄り添った
棒タイにプリーツスカート
あの日の日暮里駅の衣擦れが
見透す波形として行方を照らして
ビルの光を曲形にも反射して