【詩】trace(再掲)
熱帯の蒸れに溺れ
舌から滴る放熱処理
猟犬の群れのしんがり
鹿の眷属たちが
わたしたちをtraceする
どこまでも執拗に
四肢と連動した蹄が
獣道の巨石を直に穿ち 掴み
美しい腿肉の緊張はどうだ
究極の美しさ 自然が
粘り強くtraceしてくる
鹿の眷属たちが
全ての愛すべき猟犬よ
最初に殺られるのは
どうやらわたしのようだ
ただ一つの僥倖は最前線で
見物できるという事だ
自分自身の呑まれる瞬間を
懐に抱かれ取り込まれる
わたしは分解され交ざる
それは性的な快楽でもある
鹿の眷属たちは
わたしたちを知り尽くしている
雄犬と雌犬の集合知の腿肉が
鹿のドッペルゲンガーたちが
わたしたちをtraceしてくる
究極の美の双子たちが