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暁に薮を睨む

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刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
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2021年7月の記事一覧

詩:『日曜日』

詩:『日曜日』

『日曜日』

「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい」

コバルトブルー、灰、初日
摂氏28℃、梅雨明け、ゼリー飲料

運転席から見送る
空手着ポニーテール

詩:『豪雨』

詩:『豪雨』

『豪雨』

仕事帰りの歩道
洗い流された都市
曇り空と湿った酸素

透明な深い水溜まりを
スニーカーを手に持ち
裸足の女子高生が二人

恐る恐る滴る視線を躱し
透明な制服は交わり
乱反射する黒い髪の艶めき

詩:『朝の輪廻』

詩:『朝の輪廻』

『朝の輪廻』

インフレーション、弾け錯綜する原子
なにもない0次元空間に迷いが生まれ
屋上から見ているわたしも其処から来た

常識的に考えて物理的な無限は
失った音楽の中には存在せず
これから得る香りの可能性にある

宇宙、世界は無限か有限か
量子力学的な可能性で言えば
答えは前例以上のものでは無いだろう

幸せか不幸かはまた別の問題だ
一度死ねたらもっと色々なことが
よく分かる人間になれるかな

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詩:『オーバーロード』

詩:『オーバーロード』

『オーバーロード』

雷雲舐めゆく日々に責任が
私のデスクに山積みにされ
家庭を維持するのもまた
似たような豪雨が押し寄せる

社会性を発展させた先に
今あるものが最善なら
いっそのこと鳥や魚や樹木に
なったほうが潔いと思い立ち

Twitterを本名でやってみた
Instagramでもやってみた
Facebookのデフォルトが
本名なのが理解できかけた
1回の炎上で社会的な
人権の殆どを事実上失

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