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日本アカデミー賞優秀賞が発表されました

※一部、作品の内容に触れる箇所があります。核心的なネタバレはしていないつもりですが、ご注意ください。


僕の昨年の映画鑑賞は、劇場で7本(内1本は2023年以前の作品)、配信で11本(内8本が2023年以前の作品。ショートフィルム1本を含む)でした。

今回の対象となる作品に限るとおよそ10本。その中から、優秀作品は選出されているのか。

わくわくしながらチェックしたんですが……優秀作品賞には入っていませんでした。

が! 入ってなくても面白かったので、特に好きだった作品と俳優さんを残しておきたいと思います。



からかい上手の高木さん

中学時代、小豆島で「からかい」「からかわれる」関係で青春を送っていた高木(たかぎ)さんと西片(にしかた)。高木さんが島を出たことで離ればなれになっていましたが、10年後、再会します。当時を懐かしみながら、成長したお互いを感じながら、そしてもちろん「からかい、からかわれ」ながら過ごす、ふたりの日々の物語です。

どこが好きって、まずは作品に流れる圧倒的な透明感です。

主演の永野芽郁さん、相手役の高橋文哉さん、高橋文哉さん演じる西片が勤める中学校の生徒役の白鳥玉季さん、齋藤潤さん……。挙げればキリがないほど、みなさん透き通ってキラキラしています。

キャストのみなさんに負けないほど、舞台となる小豆島も、キラキラと輝いて爽やかな風が吹き抜けています。

で、静かにゆっくりと動く物語も、いろんな登場人物のお互いがお互いを大切に想うピュアな気持ちにあふれていて……。

とにかく、もう、映画を構成するいろんな人や場所やモノや想いの、透明度が、ハンパじゃないです。汚れちまった三十過ぎの大人には、もう眩しすぎるくらいでした。浄化されて跡形もなく消えてしまうかと思いました。幸か不幸か消えずにすみましたが、心の中に綺麗ななにかを残してもらった気がします。

あとこれは絶対に素晴らしいと言い残しておきたいのですが、作中のとある場面、動きの少ない長回しのシーンがあるのですが、ここがもう、凄いんです。

カット割や演出を加えようとすればいくらでもできると思うんですが、その場面の二人をじっと映し続けるスクリーンに、世界に、ぐいぐい引き込まれていきました。

シンプルな画面の中で惹きつける永野芽郁さん高橋文哉さんの演技と、それを形にした今泉力哉監督の手腕に、しびれました。

個人的2024年ナンバーワン映画です。


ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦

バレーボールに懸ける高校生たちの青春を描いた漫画『ハイキュー‼』の、劇場版アニメです。優秀アニメーション作品賞を受賞されていましたね。おめでとうございます!

主人公、日向翔陽(ひなたしょうよう)の所属する烏野(からすの)高校と、因縁のライバル音駒(ねこま)高校との、春高バレー(全国大会)での一戦を描いた作品です。

この作品はもう原作からアニメまで好きすぎて、バイアスがかかりまくっているのですが……やっぱりいい作品でした。

尺に納めるために映画では描かれなかったシーンもあったんですが、それはそれとして、原作リスペクトな再構成や、映画ならではの演出は、かなり見ごたえがありました。

彼らの熱い試合を観戦しているような、時に試合に参加しているような、没入感が凄かったです。特にラストシーンの描き方は、アニメならではで、何度観ても(3,4回観に行きました)感動しました。

彼らのこれまでを読んだり観たりしてから鑑賞すると、より心揺さぶられるとは思うのですが、この作品だけでも十分に楽しめるようになっているのではないかと。知り合いは、原作もアニメも見てなくて行ったけどすごく良かったって言ってました。(……まあ、ファンに向かって「微妙だった」とは言えないですよね)

2024年、個人的にいちばんアツい映画でした。


高橋文哉

ユカちゃん(鮎川龍二)「ブルーピリオド」

「ブルーピリオド」は、スポ根美大受験漫画、なんて称されたりもする原作の、実写映画化作品です。

主人公矢口八虎(やぐちやとら)の同級生で美術部員のユカちゃんこと鮎川龍二を演じられたのが、高橋文哉さんでした。

ユカちゃんというキャラクターを一言で説明するのはとても難しいのです。

身体的には男性で、可愛いものが好きで、女性的な装いをしていて、でも性自認や性的指向については特に明言されていない(はず)、さらに家族との軋轢もあって、陰があって、でも強さと優しさも兼ね備えていて、けれど弱さも抱えていて……。

可愛くて、かっこよくて、でも危うくて。いろんな要素が絶妙なバランスで詰め込まれている、超難役なのではないかと思います。

どんなふうに演じるんだろう、なんて思いながら観に行ったんですが……。

いました。そこに、ユカちゃんがいました。

思い描いていたユカちゃんが、いや、思い描いていた以上に解像度の高い、細部までユカちゃんなユカちゃんがスクリーンの中で生きていて、衝撃でした。

高橋文哉さんって可愛いとかかっこいいとかのイメージが強くて、そんなところが好きだったんですが、新たな表情を見ることができて、より好きになりました。

林裕太

ゆずる「痴人の愛 リバース」

※R15+の作品です。苦手な方はご注意ください。

谷崎潤一郎『痴人の愛』の舞台を現代に置き換え、主人公2人の性別を逆転させた作品です。

(が、恥ずかしながら原作は未読です)

教師のなおみは、道端で座り込んでいた年下の男ゆずると一緒に暮らすようになります。初めは親代わりのように彼の面倒をみていたなおみですが、次第にゆずるに惹かれていき……。という物語です。

この作品の肝はゆずるの魔性にあると思うのですが、それを林裕太さんが見事に演じられていました。

犬のように懐っこい顔をしたかと思えば、猫みたいにスルリと離れていく。その表情や仕草が絶妙で、観ているうちに沼落ちしていました。

そこの説得力がハンパじゃないので、なおみが惹かれるのにも納得できて、離れようとして離れられないことにも頷かされて。

林裕太さんの引力が、とにかくハンパじゃないのです。

もっといろんな作品で観てみたい俳優さんです。



というわけで以上、2024年の特に好きだった映画と俳優さんの話でした。ここまで読んでくださりありがとうございました。


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