大谷翔平選手の名スピーチ「憧れるのを、やめましょう」の何がすごいって
WBC決勝直前のロッカールーム。これから最後の戦いに挑む見方チームに向かって大谷翔平選手が投げかけた言葉は、日本のみならず海外でも絶賛されている。
はあ。何度聴いても、ぐっときてしまう。
このスピーチの偉大さは、いろんなところで、いろんな言語で語られている。語り尽くされている。
だから、ここに何か自分が加えられることなんてあるのだろうかと思いつつ、あえて「このスピーチの一番すごいところ」を挙げるとすれば、きっとここだ。
大谷選手は、子どものころからWBC優勝を夢見てきた。前日の準決勝では、8回まで相手チームにリードを許し、絶体絶命の窮地に立たされながら、9回の土壇場で逆転。閉ざされかけた扉が開いた。そんなギリギリで掴んだ夢への切符。それを握りしめて、言いたいことなんて山ほどあったのではないか。
チーム競技である野球。自分だけがどんなに頑張っても、夢を掴むことはできない。チーム全員が一つになることでしか、掴むことはできない。
そんな状況で、自分はいま、チームに何を告げるべきか。
普通なら、あれもこれも、となってしまいそうだ。
それを「一個だけ」に絞った。
あの国を背負った重圧の中で。
そして、その「一個」は、一瞬でみんなの心を変えた。
決勝戦の3人目の投手としてマウンドに立った高橋宏斗選手は、帰国後のインタビューでこんなことを語っている。
何でも言える、言いたいことはたくさんある。
そこからたった一つの、選ばれるべき一つを、選びとる力。
その力が、いまの大谷翔平選手を作ってきたのではないか。
そう感じずにはいられなかった。
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人は、ある瞬間には、一つのことしかできない。
瞬間瞬間に、一つのことを選び取りながら、
私たちは生きている。
いま、何をすべきか。
何に意識を向けるべきか。
何を言うべきか。
何を聞くべきか。
どこにいるべきか。
だれといるべきか。
どこに住むべきか。
何を食べるべきか。
生きている限り、
無数の選択肢の海を、泳いでいる。
意識するにせよ、しないにせよ。
それが、その人の人生となっていく。
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大谷翔平選手は、おそらくずっと、
選ぶべき一つを、確実に選びとってきた。
優勝という夢に向かって。
世界一の野球選手に向かって。
その先の、何かに向かって。
それが、いまの偉大な姿につながっている。
そして、これからの進化につながっていく。
それを人は、ストイックと呼ぶのかもしれない。
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一個だけ、に絞り切る力。
一個だけ、を選び取る力。
一朝一夕にはいかないけれど。
少しずつ、少しずつ、
磨いていきたい。
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