「知っていそうで知らなかった本当の株の仕組み」の読書レビュー・感想
著者の山口揚平さんはコンサルティング会社を経て起業した方で、昔「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」を読んで面白いと思ったのを覚えています。
最近また株や企業価値評価について勉強してみようと思った時に目についたので読んでみました。
初心者であってもわかりやすい本だと思うので、印象に残った箇所を書いていきます。
株はコストや手間で比較した時に効率的
それほど多くない資金を投資しようとした時に、パチンコや競馬などのギャンブルは返戻率が低く、長期的には負けるものです。
不動産投資もある程度大きな資金が必要ですし、コストや手間を考えた時にその他の選択肢に比べて株は効率的というのはその通りだと思います。
株が上がるのは割安な株が評価されて本来の価値に近づくから
株がなぜ上がるのでしょうか?
もちろんその時のテーマであったり、仕手筋による吊り上げによって株価が実際の価値以上に膨らむことはあります。
しかし根本的にはなんらかの理由で、割安なまま放置された株がなんらかのきっかけを元に市場に評価されて株価が上がるというのが基本的な理由となるでしょう。
最近だと低PBRの是正であったり、株主還元の拡充などといったきっかけがあるでしょう。
お金には一人でに増える機能がある
お金は腐りません。
パンや米、肉は放っておくと腐ってしまいますが、お金にはそれがなく価値を保存する機能があることがわかります。
お金が腐らないからこそ、貸した時にも価値が下がらず、返してもらう時には利子というものがつくのです。
利子はこのお金の価値保存機能から生まれるものだと筆者は述べています。
期待利回りがわかれば妥当な価値がわかる
期待利回りとは市場参加者が求める利回りのことです。
国債のようにデフォルトするリスクが少ないものはそれだけ低利回りになりますし、明日倒産するかもしれない会社の社債は非常に高い利回りになるでしょう。
よって年間100万円収益をあげる会社があったとして、その期待利回りが7%程度だとすると、その会社の価値は100/0.07=約1428万となるでしょう。
この期待利回りとPERというのは同じことを逆から見た関係になっていて、ある期待利回りを想定した時に何年で回収できるかというのがPERです。
ある会社のPERが14倍だとした時に、これは今の収益が続けばこの会社を丸ごと買ったとして14年程度で回収できるということですから、期待利回りは100/14=7.14%程度だということです。
投資とは今ある資産をより価値ある資産に交換するプロセス
預金や株価につい目が行きがちですが、投資において株の値上がりだけを重視すると本質を見失うと著者は述べています。
現金よりも価値が高い割安な株があるから買うのであって、株価が上がって価格が価値以上になっていると思ったら売れば良いし、まだ価値にほどの価格に達していないと思うのであれば保有し続ければ良い話なのです。
企業の価値は財産と事業
本の中では年収と資産のようなものだと説明されています。
企業の価値はその事業が生み出す収益と、保有している財産で決まります。
例え毎年の利益が0円だとしても、100億円の現金を保有していて借金もしていない企業の価値が50億であればそれは割安だと言えるでしょう。
企業を見るときのポイント
企業を見るときのポイントとして下記の4点が挙げられます。
何で稼いでいるのか
なぜ稼げているのか
今後稼げる仕組みに変化はあるか
これからいくら稼げるのか
前2つが過去に関してで、後2つが未来に関してです。
過去の情報を元に未来を予測するのがポイントと言えるでしょう。
企業の価値の源泉は通常たった一つ
企業が儲けを上げ続けているには理由がありますが、その理由というのは1つの会社にそういくつもあるものではないと筆者は言います。
それを見抜いた上で、それがこれからも続くのか、続くのであれば将来の収益、利益はどのくらいになるのかを考える必要があるでしょう。
良い投資先の条件
良い投資先=良い会社ではないと筆者は言います。
例え良い会社でなくとも、現在の価格と本来の価値に乖離があれば、それは儲けの源泉となります。
またその乖離が解消されるまでの期間も重要です。
100万円儲かるとしてもそれまでに100年かかるのであれば、そのような投資は資金効率が悪いです。
よって良い投資先の条件は下記の2つだと言っています。
価値と価格の差が大きいこと
価値と価格の差が解消されるまでの期間が短いこと
根拠なき投資は博打と同じ
この本で述べられてきたような根拠もなく、単に値上がりしているから儲けられたら良いなという理由で株を買うのは博打と変わりません。
私もなんとなく値ごろだからという理由で株を買ってしまうことがありますが、しっかりと根拠を持って投資をしていきたいものです。
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