闇堕ち

妹は前置胎盤で生まれ、千何百gくらいかの未熟児。母親は出産時の帝王切開で血液を半分以上を失い死にかけたようです。父親は病院に飛んでいきましたが、わたしは何も知らされず置いていかれました。一生懸命母親の無事を祈るしかありませんでした。
母親はなんとか一命はとりとめ、妹が生まれて何ヶ月後か全然覚えていませんが家にかえってきました。

死線をくぐり抜けた母親は前にも増して
すっかり顔つきが変わっていました。

これ以上子どもはできないように処置をされ、そのために更年期障害の症状がでていました。
出血も激しかったので片目の視力がほぼなくなったと言っていました。

「お金がない」の口癖の他に
「子どもなんて生むもんじゃない」
という口癖まで増えました。

弟もおばさんの家からいつ帰ってきたのか覚えていません。
妹の方も未熟児で生きるのか死ぬのかくらいの話で、家に来たのは母親の退院からさらに数ヶ月もあとのことでした。

母親をすっかり変えてしまった妹が許せませんでした。

以降母親は髪の毛を振り乱しながら、としごになった妹と弟のお世話をしていました。
わたしには一切構わなくなりました。勉強のこと以外は。
わたしは一人で学校の準備をし、誰も起きて来ない中起床し、片道2kmを毎日通学しました。

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