風(1)
降り立った
その街は風の強い町だった
山から吹き下ろす風が
意地悪く
私に絡んできた
北風と太陽のように
私は身を縮めて
「風なんて嫌い」と呟いた
風は笑った
「好きになんてならなくていい」と
私が育った街は
こんなに強い風は吹かなかった
風はいじめっ子のように
私の服や髪を弄んだ
長い長い季節をすぎた
風が聞いた
この街にはなれたかい
街にはなれた
だけど
あなたを好きにはなれない
私は答えた
寂しそうに風に泣いた
だけど
風の感じ方が変わったよ
風で季節を感じること
いつも
いじわるではなく
時には
優しく吹いて
癒してくれること
そういうと
風が笑った
風は照れ屋だ
風は小さな子供のように
暴れたり笑ったりする
風は好きじゃない
だけど
風は嫌いじゃない
わかるかな
この微妙な感じ
風に語りかけた
風は落ち葉を集めて
小さな竜巻を作った
あ!照れてるね
私はにっこり笑った