記憶
突然、思い出した
怖い記憶
長く生きていると
忘れていく記憶ってあるのよ
子供の頃
祖母に言われたことがあります。
それを実感する年になりました
嫌な記憶は消し去りたい
無意識に忘れていくのかな
と思ったり
本人は忘れてしまってる事を
「忘れちゃったの?やぁーね」
なんて
言われてしまうと
思い出したくなかった記憶とともに思い出してしまったり
思い出す時って、必ず嫌な記憶も一緒なんだよなぁ
嫌な記憶ばかりではないはずなのに
思い出すのは嫌な記憶
私の場合
次から次から色んな事があり、メモリカードに入り切らず上書きされてる感じなので
バグが起きて
昔の記憶がふと、蘇る事も
そんな時は
とにかく書き出して
ネタの一つに
さて
そのネタの一つを…
小学生の頃
私は東京のある団地に住んでいました
今、思うといろんな人がいました。
その「色んな人」がいる事に気づいたのは中学生だったのですが
本当はどうなのか、わからないのであまり信じてはいなかったのですが…
不思議な人が引っ越してくる事はありました。
第二次ベビーブームで
子供が多かった時代。
外で遊んでいる子はたくさんいました。
今みたいにテレビゲームもスマホもない時代ですから、外に出れば誰か遊んでいました
その日
私は誰かと遊びたくて、外に出ました。
ところがその日に限って、誰もいなくて
自転車にでも乗ってれば誰か来るかな、と思っていました。
すると、
団地の方から、一人の男(歳は私よりかなり上だったと記憶)が来て
僕と遊ぼうよ、と言ったのでその男についていき、その子のうちに…
お菓子を出してもらい、特に何かするでもなく…
暫くすると
外が騒がしくなり、
私の名前を呼ぶ声がしたので
窓から外を見ると
母と近所の人が私の名前を呼んでいました。
私は
「お母さんが探してるから」と
帰ろうとすると
「もう少しいいじゃない」と言われました
だけど
「お母さんに叱られるから」
と強引に外に出ようと扉を開けました。
なんか、嫌な予感がして
「おかあさん!」といいながら、外に出たら、その男は諦めました。
母は「よかった」と私を抱きしめて、
その男に向かい
「親に黙って、子供を誰も家に入れたらダメでしょう!」と怒りました
その男は
「すみません」と言ってドアを閉めました。
集まった大人達が
「大丈夫?何もされなかった?」と口々に言います
「大丈夫だよ、お菓子出してくれた」
この辺の記憶が曖昧なので、その人とどんな話をしたのか、どんな表情をしていたのか思い出せないのですが、とにかく、母にはめちゃくちゃ怒られました。
この男性、団地の中では有名注意人物だったらしく…
黙ってよそのうちに遊びに行っちゃダメよ
大人達に言われましたが、その言葉の裏には
怖い事情があったのです。
その話を聞いたのはだいぶ後
「〇〇さんちの家に言ったんだって?」
近所の子に言われました。
「あのうちさ、危ない人がいるんだって」
その男、家の窓から外へ声を掛けて家に誘い込む事をしょっちゅうやってたようで、問題になってたらしいのです。
母の声に気づかなかったら
帰ると言っても帰られてもらえなかったら、
考えると怖いです。
「優しいお兄さんだったよ」
私は母に言ったそうですが、
母は気が気じゃなかった事でしょう。
そんな事には気づいていなかった私は
窓から外を見るその人を目撃すると、
母に叱られるから、と逃げるようになりました。
それからしばらくして、
その男は
いつのまにか引っ越していなくなりました。
捕まった…という話もありますが
定かではないです。
団地の中の大人達の井戸端会議なので
なんとも言えないのですが、
母の形相がすごかったので、
ひょっとしたら…
子供誘拐、監禁のニュースを何気なく見ていて、自分の子供が被害に遭わないように、と願っていて、
ふと、このぼんやりとした記憶が蘇りました。
子供だった私は恐らく怖いという経験じゃなかったから、なんでもない記憶に保存されていたのだけど、大人になって、新たな記憶から怖い記憶に上書きされてしまったのでしょう…
本当、あの時、何もなくて良かった。
扉を開けて
「お母さん〜!」と叫ばなかったら、
母が私の声に気づかなかったら
ちょっと、背筋がゾッとなりました。
どうせなら、楽しい記憶をインプットしたいものですね
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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