時価580兆円余りと御用金
高田郁さんの時代小説は欠かさず読んでいる。
私自身が商いに携わることも、経済のことも知っている訳ではないので、
人間の才覚、という能力がそこかしこに散りばめられていて、面白い。
日本の国債の保有のはほとんどが、株主非公開であるものの、
日本銀行を始めとした国内で、海外の保有率は少ない。
日本の債務は国民にあるのではなく、日本政府にある。
それが御用金から変わったものだと歴史からも読み取れる。
例えば外国保有率の高い、アメリカ国債を例に取ると、
2023年資料では、日本がだんとつにアメリカ国債を持っていて、
次いで中国、3位はアメリカの旧宗主国イギリスだが、
イギリスに比べても日本のアメリカ国債の保有率は1.5倍だ。
その次のルクセンブルクと比較しても日本は3倍保有している。
その後にケイマン諸島、アイルランド、ベルギー、カナダ、
スイス、フランスと続く。
日本の借金は国債という形で国民の我々の負担であるものの、
実質政府に貸している状態だと言える。
また多くのアメリカ国債を保有する日本は、
おおいなる発言権を行使できるという事ではないだろうか。
在日米軍基地という、アキレス腱も持ってはいるけれど。
逆に見れば、いざという時は彼の国にとっては、
カードとして使えるという危険もあるけれど。
御用金(ごようきん)とはその昔、
江戸幕府や諸藩が有無を言わせず、上納させた金銀のこと。
例えば江戸城の再建や、幕末の長州征伐、軍事費や飢饉などに対する福祉、
米価調節などの臨時の費用のこと、建前は低金利で、
長期間借り上げて返すというものではあったものの、
実際は利子すら払われない、強制献金のようなものであったことが分かる。
上納を命じられれば「運が悪い」「恐ろしい」ことで、
農民は「年貢米」というものがあったためか、
特に裕福な町人は目を付けられたと言われている。
特にこの御用金の最も多くの対象者が、「天下の台所」の大坂商人だ。
1761年、大坂の商人205名に対し170万両の御用金を命じた時から始まり、1869年、明治政府が御用金制度を廃止するまで続いた制度だ。
御用金は国債制度に切り替えられた。
時代を経て、幕府直接管轄の意味である「天領」農村の有力者までも、
対象になり、全国規模で発令されていった。
最初の数年間は利子が支払われたが、以後はほとんど支払われなかった。
いわば国家ぐるみの詐欺のようなものだ。
しかし御用金の減額も実際には行われていたので、徴収される側も、
お上のいいなりになって、諦めているばかりではなかった。
小説「幾世の鈴」において、五十鈴屋が主人公幸の故郷、
尼崎藩に拘った理由は「知行権」に逆手に取って手を尽くしたものと思う。
公的な強制献金の性格を持つ御用金とは言っても、
「天領」が「私領」に変れば、全額返金することもあった。
知行権とは、領主の所有支配権のようなものだ。
はるか昔より治安維持、租税徴収を目的とした重層的な体制は、
土地に対してと、住民に対する支配権も含まれている。
その守られた権利を逆手に取ったような才覚というものは、
長い間の苦労の末に、主人公幸を始めとした、
多くの大坂商人が身に付けたものと思われる。
才覚の意味は「物事をなす際のすばやい頭の働き。機転」とある。
先の見えない不安定な政治情勢の現在を、
「幾世の鈴」の物語と重ね合わせて読んでしまった。
財源不足や臨時の支出を補填するために発令された御用金。
「福祉のため」「復興のため」と言われて出し続けた税金。
慶応年間には明治天皇の大坂行幸等を理由に数回徴収されている。
「無私」というものが、祈りの本体ではなかったのだろうか。
人はお金で動かせても、
才覚がなければ、お金と人の心とを同時には動かせない。
病状によるものなのか、ご実家の宗教によるものなのか、
民主社会と神道の隔たりが深すぎるせいなのか、
随分長い間、すべてを「お慎み」続けられている、
共に支え合うお相手と添い続けるご苦労もまた「無私」なのであろうか。
ああ~ダラダラとお喋りしたくなってしまうのは、
通勤路の港湾道路の復旧工事がようやく終わるせいでしょうか・・・。
天皇皇后両陛下訪英に関して、宮内庁の公式発表では、
これといった中身がないので、イギリス王室に詳しい方のXを眺めました。
出迎えは駐英日本大使の他は英国人も1人。
スタンステッド空港への到着は6月22日で、プライベートという扱い。
国賓とはいうものの、滞在はバッキンガム宮殿でも、
ウィンザー城でもなくホテル。
国王と王太子妃はガン闘病中の上、
月末は総選挙を控えているためにスナク首相との食事会もなし。
カウンターパートはウィリアム王子という、
階級的にはバランスの取れない相手。
英国王室と政府がいちいち「プライベート」と何度も書いている発表に、
「ぶぶづけ」を連想してしまうのは私だけではない。
28日の出発の際も見送りはなし。
ということは、国賓であるからには、
費用も日英双方が協力して負担し合うはずなのに、
唯一チャールズ国王とカミラ王妃のお出ましになる、晩餐会の一日のみ?
いったいプライベート旅行にどれだけの税金が使われるのでしょうか。
そら恐ろしい。
花の種じゃなくて、苗を買ってもいいですか?あなたのサポートで世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡