【お題】秋＊秋は忙しい

秋は忙しい。

ひとことで説明するなら、
肉体疲労と脳疲労と内臓疲労の三重苦のせいだ。
「自然」の中に暮らす人間の営みにも、冬の準備が欠かせない。


汗も引き、水分補給も減り、
体感温度も変わりつつ、安定しない気候に、
肉体的ストレスを受けて受けまくり。
食事を終えたとたん、「眠れ～横になれ～」と、
体が命令を受けている気分だ。
秋は「眠るのに忙しい」

実りの秋は、新米がやってくる。
柿や梨も、すだちですら、やってくる。
蓬莱豚まんや、叙々苑の焼肉や、ふくやの明太子がやってくる。
柚子シロップやイチジクジャムのお手製軍団もやってくる。
メールや手紙や電話でのやりとりが一気に増える。
秋は「生存確認が増えて忙しい」

春に仕込んだ味噌や梅酒が食べ頃飲み頃になる。
さといもやダイコンや白菜が食べ頃になる。
ミックスリーフなどの葉物類の畑の整理も始まる。
大鍋でたっぷりの煮物を作りたくなる。
たまねぎ苗は毎年いただく。
菊が花盛りで仏花に活躍する。
秋は「物々交換に忙しい」

「食べて寝て蓄える」

これが秋のたったひとつの、共通の、生きる命題。
さて、共通でないものもありすぎる。

秋はイベントが欠かせない。
誕生日プレゼントも、三人には贈らなければいけない。
人はいたるところで集まって、神妙に聞いたり、勉強したり、
あるいは騒いで、踊って、歌って、食べる。
イベントのための会議も打ち合わせも目白押し。
終われば終わったで、反省会や打ち上げという名のイベントが待つ。
しかも冬のイベントに向けても動き出すエンドレス。
秋は「人と会わなければいけなくて忙しい」

たまねぎ苗を植えてしまえば、畑作業は一段落。
しかし来春に向けて、綺麗に草取りしておく必要がある。
それに来春に向けて、蒔く種や苗を選んでおく必要がある。
つまり来春に向けて、取って置いた種を整理し、
挿し木や植え替えを終わらせ、草木を剪定し、
寒肥をあげなければならない。
秋は「来年の花畑を夢見ることで忙しい」

ああ、明日もやることがひとつ、ふたつ・・・。
海水を汲んできてもらったので、干し芋を作りたい。
今年は紅葉狩りに出かけられるだろうか？
生きるって本当に忙しいもんだ。

万華鏡