独白、蒼い手を引いて

時計の音は大きく 乾いた時を刻み
壁は白く垂れ込めて 腫れぼったく見えた
もう一人の僕が僕を見て 君も一人だねと笑って
更けゆく 今夜の呼吸は 凪ぐでしょうか

僕を今日まで生かしてきた思い出が
君を巻き込んで フラッシュバックする
図書室の夢は 光の筋に舞うダストとアンニュイ
梟の瞳で本を読む 星の欠片をガラス瓶に詰めた

記憶の中の待ち人 誰よりも知っていた
本当に 捨てられないものは
塩素水に浸された 一枚のハンカチで
誰かが戯れにくれた マフラーの横で
今も 淡々と 時を積み重ねる 執着

ほうき星に載せた僕の願いは
志半ばで墜落し 届かなかったのでしょうか
今頃は きっとプラチナブルーの潮に揉まれ
或いは 遠い記憶の残滓として
回遊魚の目を愉しませる
消えない泡となっているのでしょうか

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