【フィルム探究記#1】初めてのフィルムに使ってほしいKodak ColorPlus200
デジタルカメラが進化した今の時代、ランニングコストのかかり続けるフィルム写真は、道楽の中でもさらに道楽だと言えてしまうでしょう。しかしフィルムにしか無い写真の味というものがあり、それをデジタル写真で再現しようとも完璧には再現することはできません。デジタルとフィルムの双方に利点があるため、甲乙をつけようという気はありませんが、デジタル全盛の今だからこそフィルムを使ってほしいと思うものです。それは今流行りの、雰囲気の良い写真が撮れるからだとか、写りが甘いのがいいからだとかそういう理由ではありません。フィルム写真特有の奥行きのある写真をデジタルで撮影することは不可能なのです。いくら立体感のあるRAW現像を施したとしても、物理的に奥行きのあるフィルムには到底及びません。
「フィルム探究記」はデジタル写真しかするつもりがなかったのに、気付けばフィルム写真ばかりしている筆者による、フィルム写真の魅力についてダラダラと書く連載になります。
今買えるフィルムで一番ベーシックなフィルムといえば、やはりKodakのColorPlus200でしょう。比較的お買い求めやすい価格のフィルム(とは言っても何巻も一気に使える値段ではないが)で、かつ写りも申し分ありません。感度も200であるので、シャッタースピードをあげられないようなカメラでも安心して使えます。
私が常用しているカメラはCanonet QL17という古めかしいカメラで、1964年販売開始だそうです。まさかのオリンピックイヤー発売で実に60年前のカメラです。そんなカメラなのでシャッタースピードが最速で1/500秒までしかなく、またこの時代のシャッターは構造上あまり1/500を多用しすぎないほうが良いという話も耳にします。どうやら壊れやすいようです。真偽の程は分かりません。そんなカメラなので感度400のフィルムはあまり使っていません。基本はAEに任せて撮影をしているので、シャッターが下りなくなってしまいます。晴れている日であればシャッタースピード1/250秒のF16で撮れば問題はないでしょうが、ひなたと日陰を行き来するので、できればAEを使いたいのです。スピード重視です。
KodakのベーシックなフィルムにGold200というフィルムもありますが、あちらはよりKodakらしい淡い青と黄色いの出る優しい雰囲気のフィルムです。対してColorPlus200はよりニュートラルな色のフィルムといったところです。Kodakらしく黄色が若干強い印象ではありつつも、どの色も平均的な出方をしているので、どんなシチュエーションにも対応できるフィルムです。現地に着かないとどんなものか分からない様な旅行やロケハンにピッタリなフィルムです。
最近の流行りの写りをするフィルムかと問われれば、全然そんなことはありません。特徴的なカラーシフトもしませんし、細部までシャープに写ります。私がColorPlus200をファーストフィルムにオススメする一番の理由は、実はフィルムは下手なデジタルよりもよく写るということを知ってほしいからです。時代の流れによってデジタルに負けたローテクの、謂う所の負け技術ですが、それでも令和の今の世になっても十分戦えるポテンシャルを持っています。何よりも雰囲気を楽しむだけのものとは思ってほしくないと思うところです。