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『関係の終末』は「あの地獄」の始まりに過ぎなかったのか④-2

ヨンキ作のWebコミック『他人は地獄だ』とその関連作である『関係の終末』。今回は、2作品を横断する形で深ぼり&考察の第4弾-2です!今回は、『関係の終末』のクライマックスとも言える、惨劇の夜のマサルとハシラを掘り下げていきたいと思います。

ネタバレがありますので、作品を純粋に楽しみたいという方は後ほどお会いしましょう!


ハシラにとってのマサル

ハシラのマサルに対する態度や心情の変化

『関係の終末』の序盤では、物陰からマサルやユイの姿をじっと見ているハシラが描かれます。それだけなら、偶然同じ宿に居合わせただけの存在ですが、徐々にハシラとマサル、二人の関係性は変化していきます。

・「面白いもの」

宿のオーナーが心配していた通り、おばちゃんとハシラは心中を図るためにこの民宿に流れ着いたのでした。二人の間で「この日」と決めていたのでしょうか、部屋に戻るとおばちゃんが待ち構えていたように話しかけます。

さっきまでマサルとタツヤ達の不穏なバーベキュー大会(その後トラブルに)を見ていたハシラは、「楽しかった、面白かった」とつぶやき、少し名残惜しそうなそぶりを見せていました。

・「お友達」or「従者」

ハシラが覚醒した後、自分が手にかけたオーナーには目もくれず、マサルの元に向かいました。マサルと対面を果たすと、暴れているいじめグループ連中をどのようにしますか?とマサルに指示を仰いだのです。

まるでハシラが使い魔のようにマサルの元に地獄から召喚されたかのような瞬間でした。

そうかと思えば、後からやって来たおばちゃんが、「もうお友達ができたの??」と嬉しそうにしており…

従者のように友のように振舞うハシラに、読者もマサルも困惑させられました。

・「作品」or「下僕」

自ら葬り去ろうとしていた自身の凶暴性や異常性、それらがマサルの内に秘めたソレと共鳴し、これまで以上にパワーアップしてしまったハシラ。それでもマサルの思いを汲んでか否か、いじめ主犯格のタツヤのとどめは、マルを制止してまでマサルにやらせようとします。

タツヤが改心をして自分にしおらしく謝って来る映像が思い浮かんでしまって、どうしてもできないマサルに対し「おじさんは不良品だ」「やれ!!」と言い発つハシラ

いつしかハシラの中でマサルは「不良品(作品)」であり下僕となっていたのです。

惨劇の夜でのマサルとハシラ

悪魔との契約

いじめグループの一人と激しく殴り合い、お互い血まみれになってしまったマサル。しかし、彼はどこか余裕の表情を見せ「ここには俺が呼び出した悪魔がいるんだ!」と得意げに叫びました。

少し前まで、グループの連中とマサルとユイはバーベキューを囲んで飲み食いしていたというのに、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?

食事中、相変わらず失礼な態度の連中でしたが、マサルとの再会をなつかしんだり、思い出話を持ち掛けるなど反省や更生をしているのかもしれないと思わせる言動もありました。

それで安心をしたのか、マサルは過去の自分との違いを見せつけるかのように強気な発言や、グループの連中をバカにするかのような態度を取ってしまいます。

徐々に不穏な空気が立ち込める民宿

すっかりたくましくなったマサルのことを最初は見違えた!ともてはやしていたグループの連中でしたが、調子に乗っているともとれるマサルの態度についに不快な感情をあらわにしました。

最初は軽く口論になったところをグループの一人のケイゴが見るに見かねてマサルを連れ出しました。マサルに寄り添うような態度を取ってくれたケイゴでしたが、マサルは刺々しい態度でつっぱね、「お前と話すことなどない」というようなことまで言ってしまいます。

バーべキューの場に戻ったマサルは、タツヤ達に絡まれていたユイを連れて部屋に引き上げようとしますが、昔の恥ずかしい話を持ち出され、挑発に乗ってしまいます。

しかも、泣きながら。

「あの日」に囚われたままのマサルを観察するハシラ

自分の恥ずかしい過去を最愛の彼女の前でバラされてしまったマサルは、正気ではいられませんでした。あれほど怯えていたタツヤに立ち向かっていこうとしますが、無惨にも顔面を執拗に殴られてしまいます。

一方、ハシラはというと、木陰からこっそりとそんなマサルの姿を観察するのでした…

この後でハシラは、自室に戻っておばちゃんに「面白いものを見た」と言っているので、この時ハシラの中の残虐性や狂気とマサルの絶望の中の加虐性が共鳴したのかもしれません。


ハシラには全てお見通し??

ハシラは覚醒した後、血まみれのマサルの元にどうしましょうか?というようなことを聞いています。その後、マサルの希望を叶えたら、狩りをする立場になればもっと楽しめるというようなことも。

ハシラは、マサルがいちばん目の敵にしている(獲物と認定している?)人物がタツヤであることを敏感に感じ取り、そう言葉をかけ、武器を渡します。

この時のしぐさがとても印象的なのですが、柄の方をマサルに向け、まるで敬うかのような戦友に加勢するかのような表情を見せるのでした。

しかし、タツヤが改心をして自分に真摯に謝ってくれるかもしれないという希望を捨てきれず、臆病になっていくマサルを見て、ハシラは静かな怒りをあらわにします。

その時、マサルに差し出された武器は、柄の方をハシラがしっかりと握っていました。


『関係の終末』は「あの地獄」の始まりに過ぎなかったのか⑤-1では、ユイとマサルの関係性の変化や惨劇の夜の顛末について考察していきたいと思います!


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