孤高
旅に病で夢は枯野をかけ廻る 松尾芭蕉
松尾芭蕉の生涯最後と言われている句です。
芭蕉の冬の句を中心に句集を紐解いたり、芭蕉に関する本をこのところ読んできたものの、ろくに俳句も読むことができない上に、金字塔を打ち立てたとされる芭蕉の句を理解することなど、枯野をかけ廻ることもない夢のまた夢のような感じすら受けてしまいますが、
彼(芭蕉)は歌心によつて本質のものをあらはし得た至誠の詩人だつた。彼の歌心が自らに発し、この一点を己の中に指す瞬間に、彼は時代の粧ひを忘れ、あるひは時節の教養を一擲して、大聲無類に慟哭したのである。(「芭蕉」保田與重郎 教学社)
というほどの感じ方や、
存在の真相を徹底的に摑もうという情熱に憑かれた詩人 (「意識と本質」井筒俊彦著 岩波文庫)
と芭蕉を捉える域についても、これからの伸びしろということにして、引き続き紐解いていきたいと思っています。
と言いつつときどきは芭蕉に戻ってくるつもりながら、時代の遡りを進めるため、これからは和歌(短歌)の中で西行を読んでいこうと思います。