落下
朝か夜かも分からない真っ暗な部屋で
ベッドから起き上がれない僕の
心臓がとくとくと音を立てて刻む
息をしている ただ 息をしている
それだけなのに 針を吸い込んだように痛む
屋上から見る最期の景色はきっと
今までより何倍も美しい
電車が迫る最期の数秒はきっと
どんな瞬間よりも綺麗で
垂直に落下していく僕の顔だけが
間抜けで可笑しい
鳴り続ける通知音 見ないようにして
呼吸の音だけ胸の中に響く
息を止めて
垂直落下していく
紅い花を咲かせて散った僕の顔は
あの子より可愛いかな
目を閉じて布団を被る
昨日みたいな今日を今日みたいな明日を
望んでないのに日が沈むから
うんざりしながらまた眠る
とくとくと心臓の音
それがどうにも五月蝿くてちぎってやりたくなる
妄想と現実の境が曖昧にふやけて
正しい四角をした部屋だけが真実
邪魔にならないよう端っこで横たわって
死んでいますようにと願って明日も