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読了日記|野﨑まど作品を読む
バビロン 『I -女-』 『II-死-』 『III-終-』
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噂にはきいていたけれど、劇薬すぎる悪夢の連続がまさに絶望オブ絶望。これほどの圧倒的“悪”に底なしの恐怖が広がるだけでなく深さも増す。そんな相手と対峙しつづけるなんて地獄へ堕ちているも同然。
『バビロン』は内容を広げやすい題材なので、なにを書こうか迷ってしまっているところはあります。そもそも完結まであと何巻かかるんでしょう……。
野﨑先生もおっしゃるに『III-終-』で完結ということではなさそうでひと安心。といいたいところだが『III-終-』を読むと、これ以上の絶望がまだ残っていて、続編があるならそこにも魔の手がいくんじゃないかという心当たりがあって本当に鬱。
[映]アムリタ
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『バビロン』を読んだあとの『[映]アムリタ』。
ま、眩しい…キャンパスライフ…!青春群像劇!良い…!となっていたのに。
「幸せは歩いてこない だから歩いていくんだね」
なぜかこの歌詞が頭のなかにぶわっと浮かんできた。
『2』まで必ず順番通りにということなので、早く読み進めたくてうずうずしている。
舞面真面(まいづらまとも)とお面の女
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わたしが読んだ個人的な体感だという前提でいうとS&Mシリーズの犀川&萌絵を彷彿とさせる、軽快で頭の回転がはやい人たちのテンポの良いお洒落な会話が好き。
先生のあとがきも『[映]アムリタ』につづいてめちゃくちゃ良い。
“センス”について掘りさげて言語化したいと常々思っているけれど、今回は軽率に言いたくなるくらい、とにもかくにもセンスの良さにバチバチ痺れまくっている。
死なない生徒殺人事件〜識別組子とさまよえる不死〜
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ホラーとサイコな雰囲気がありとても良い。
キャラクターの捉えどころの無さがあのラストにより冷や汗をかくものがあった。
識別組子のあのセリフが個人的にくうぅ…!となる。
小説家の作り方
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シリーズを通して節々に繋がりを感じて心のなかで湧いている(誤読の可能性もあり)
パーフェクトフレンド
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『[映]アムリタ』から日をあまり空けずに読んでいたにも関わらず、雰囲気似てるな…と思いながら終盤で「!?!?」となった。
いやはやどうなるのやら…(頭を抱える)
2
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これほど究極に完成された作品はないのでは…!?と思うほど美しく最後の最後まで回収されきっていた。圧巻…!本当にすごすぎて…!
それぞれの作品がシリーズとして繋がっていると分かっていても、それぞれの作品に問いがあって、それぞれが人類誕生以降(大きくですぎた…?)にとって永遠のテーマすぎると深く頷き悩んだ。
もうこれが答えだよな…と思考を完結させたいくらい。いや完結したかもしれない。
このあと最新作『小説』を読むと“創作とは?”“感動とは?”“わたしたちとは?”をさらに深く潜って堪能できそうな予感!
小説現代 2024年10月号
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⚫︎『小説』
『2』を読んだあとすぐ読みはじめた『小説』
こちらは創作する側ではなく、読み手側が主軸となった作品で、読んでいると何度も共感すぎて唸ってしまう場面がたくさん出てくる。
どうしてもいまの時代というか社会の雰囲気も相まって、なにかに還元できるような、身につくような、役に立つような読書の仕方であったり、読んでどう思ったのか?どうしていこうと思ったのか?など、ただただ楽しむ読書以上のことを得ないといけない雰囲気がうっすらある。
“読むだけじゃだめなのか?”と“ただただ読みつづけていたい”はずっとあって、でも“読んでいるだけじゃダメな気がする”も同じくらい湧きあがる。
読んでそのあとに活かさないと…と勝手に自分にプレッシャーをかけ、自分から積極的に引け目や罪悪感を取り入れる。
(これはわたしの現状が影響しているだけかも)
アウトプットすることで誰かになにかに言い訳をするようにそれらを薄めつづけている。
こうやって読書メインのnoteやXでの読了ポストだったり、感想を書くということを自分で決めてやってはいるけれど、やっぱり心のどこかで「読んで感想を書く前提の読み方」が軸にあって、本当は全部「おもしろかったよ!読んでみて!」などのきもちで全てを送り出したい。
でもそれだけではいけないよな……と立ち止まる。
なぜ?
このままだと読んだら感想を書かないといけない…と思って、読むこと自体が重荷になって嫌になってくるのではと不安になる。
ここまでくると自分で自分が嫌になるようにしているようにも思えてきた。良くない。
すでに書いている作品なども本当におもしろかったし好きな作品ばかりなので、いやいや感想を書いたとかではもちろんない。
だけどたまに「わたしなんでこんな一生懸命書いてるんだろう…」と思ったりはする。
“読むだけじゃだめなんだろうか” と。
わたしは圧倒的に内海くんに共感の割合が多いので「あーおもしろかったな…」「良かったな…」と噛みしめて浸りつづけていたいのかもしれない。
などと、自分の“読むこと”について考えてることや『小説』を読んで感じたことにあれこれ書き留める。
それ以上に、まど先生は「なんでだろう?」「どうしてだろう?」とひとりで考え内側に籠ってしまいたくなるような気分になってしまうところをぐいっと引っ張って違う世界へ連れて行ってくれる。いまいる場所とはあまりにも違いすぎて戸惑ってしまうけれど、ブワッと視界がひらけて強風を浴び、脳みそがチリチリと痺れる。そうやってこんな世界が目の前に広がっているんだなといつだって教えてくれる。
⚫︎書き下ろし短編『雪嵐の密室』
『小説』を読んで、インタビューを読んで、対談を読んで、と順番に読んだあと「さあさあ、斜線堂有紀先生も絶賛していた『雪嵐の密室』だぞ…」と読みはじめたら、まあ!!!!なんと!!!!
今年というか自分が読んできた短編のなかで圧倒的1位に君臨した。殿堂入りする。おもしろすぎる……こういうのありなのね…。まど先生、ほんと……
だいすき。続きが読みたい。このテイストで1冊にならないでしょうかというきもち。
おわりに
わたしの本棚にある野﨑まど作品を読んでいきました。未読の作品もまだまだあるけれど、『バビロン』から『[映]アムリタ』シリーズ、最新作『小説』と、どの作品も問いを投げかけられつづけた濃厚な読書体験でした。それぞれの問いはこれからも物語だったり体験だったり人との関わりのなかでもっともっと深めていきたい。