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精神病棟脱走した話

捕まってからの話

みなさんは、退院RTAという競技をご存知でしょうか。
それは、病院に入院してから退院するまでのタイムを競う競技のことです。(実在しません)

どうも。飛び降り自○しようとした女です。その時着てた服が白ワンピだったんですけど、内輪で、「死装束」ってあだ名がつきました。不謹慎。

かわいいのにね。


飛び降りしようとしてから病院に入院するまでの流れは前の記事で言うてるんですけど、精神病棟についてわからない人が多いと思うので、まずその辺の話から説明します。

まず、自殺未遂とか加害とかで警察にとらえられた時点で、強制入院させられるか、経過観察で帰らされるか分かれます。とりあえず、「強制での入院」と、「任意での入院」は違うということだけわかっといてくれれば今回の話で支障はないです。

捕まってからどうなるかは、これはほんまに人によると思うけど、人に危害を加えようとして暴れたりしてたら、強制でってなると思います。私は死のうとはしたけど暴れたりしてなかったので、保護者に判断を委ねると言う感じになり、私の場合は片親だったんで、母に相談になりました。この母はとりあえず親ガチャSSRマザーであるということだけ言っておきます。めちゃくちゃいい母です。父は知らん。

で、強制入院やと、結構なんというか、重症の方も多い病院になるので、その分厳しいところになるんですね。私は希死念慮はあるけど法を犯すとか、誰かに危害を加えようという意志がないので、とりあえず、次の日からいつも通ってた病院に「任意での入院」となりました。

診察を受ける

んで、私が行ってた病院の主治医の先生が、なんか週一しかおらん違う病院の先生らしくて。つまり、入院する時の主治医は、その病院の、初めて会う知らん先生になるとのことやってんな。

お医者さんって精神科は特にやけどほんっっっっまに合う合わないあるから(今まで散々いろいろあった)、まぁちょっと不安やったけど、緊急ですぐに入院できるのがそこしかないってことで、とりあえず入院することになった。

電話で入院の予約をとる時に、
「今回飛び降りしようとして、警察にお世話になったので入院します。」
と看護師さんには伝えました。
それから、病院へ行って、主治医の先生と初めて会って、診察が始まりました。

まず最初に、

主治医「どんな感じですか?」

と一言聞かれたんですね。

(どんな感じ…、死にたいみたいな感じです?って言うた方がええ…?)

初対面なので、主治医の先生が私が死のうとしたこととか、それまでの経緯とか、どういう病気なのかとか、なにまで知ってるかわからんかったんで、
「どこまでご存知ですか?」と聞いたら、

主治医「まぁ、カルテは読みましたよ。」

とだけ言われた。
その後、

主治医「薬はどんな感じです?」

と聞かれたので、

わい「まぁ飲んでも別に良くならないです。」

まぁ良くなってたら自殺なんてしませんからね。
ほぅ。と言われ、とりあえず入院の説明をされました。その後、

私「カウンセリングを受けたいんですけどそういうのありますか?」

と聞くと、

主治医
「いや笑。
入院ってとりあえず死なないようにしてもらうもんなんで。笑
そういうのないです。笑」


ほぅ。ホームページにカウンセリングもあると書いてたけど、入院患者にはないのかな。

(この先生、私の事カルテ読んだだけでわかってるんかな)
とまぁまぁ不安だったけど、入院することになってたのでそのまま手続きしました。

一瞬入院する。

精神病棟って、めちゃくちゃ持ち込むものに厳しくて、携帯はもちろんだめ、ビニール袋とか、頭が入って首を絞めれるような紐とか輪っかはだめ、鏡もだめ、飴とかガムも喉に詰まらせるので禁止でした。

厳しい持ち物検査を終えた後、売店で、とりあえずその日一日過ごせるだけの娯楽として紙とペン、クッキーを買って部屋に戻りました。(これ、後ほどめちゃくちゃ後悔することになります。)

今後どう言う方針でいくのか、カウンセリングはいつなのか、次の診察はいつなのか、なーんにも決まってなかったので、看護師さんに「先生と面談がしたい」と伝えると、「あとで部屋に先生行ってもらうね。」と言われたので、部屋で待つことになりました。

自殺未遂からほとんど眠れてなかったので、ベッドに入ってうとうとしてたら、ノックもほとんどせずにさっきの主治医が来ました。

主治医「携帯使いたいんやろ。これ書いて。」

んぇ?????
なんの話やねん。
まあまあとりあえず言われるまま書き、

わい「あの、診察の方はどうなってますか。」

と聞くと

主治医「え?薬もう3日分出してるし。変えられへんで。さっき薬そのままでええって言うたやろ。」

言ってへんわ。

わい「あー…そう……なん…じゃあ、これからどう治していく…とか…」

主治医「え?知らんよ。入院ってそういうんじゃないし。言ったやろ。じゃ。」

主治医はそう言い残して出て行きました。

そんときの私の顔



ここから、ガチでもう笑うしかないんですけど、私、ボーダー(境界性パーソナリティ障害。調べてくれ)の気質があって、怒りのコントロールがあんまり効かないんですね。(ムカつくなぁ。)で終わらせられない。ムカついてしかたないので、さっき買った紙にペンで、たくさんたくさん

「○ね」

と書き、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ塗りつぶし、

「なんやあいつ。」

とデカ目の声で言いました。

退院後返ってきたノート
のぐっちゃぐちゃにされたページ


すると、

主治医「あとカウンセリングお金かかるから。」

と、そこに主治医が立っていました。


キャーーーーーー!!!!!!!
いやノックせいや。気まずすぎるやろ!!!!!!てかカウンセリングあるんやんけ!!!
もう。もう。しんどきゃよかった〜!!!

いやまぁ向こうからしたらね、慣れっこかもしれんけど、もうよう知らんそんな人と衝突するとかもう、無理なんですよ。
完全にメンタルブレイクハイに入った私はもう無敵。もう考えることは一つだけ。

「そうだ。ここから逃げよう。」

幸いその時間は院内での散歩がOKされている時間。今なら、隙をついて抜け出せるかもしれない。ここから、私の脱走劇が始まる。
いやかっこよくないで。

人生初、追われる立場になる。

みなさん、先に結論から言うとくんですけど、精神病棟からの脱走は最悪の結末をかけた大博打です。今から入院しようかなって考えてる人、この記事見て、「脱走も視野に入れれば〜」とか、絶対考えないほうがいいですよ。本当に大博打です。てか普通考えへんけど。

まず知っておいてほしいのは、任意入院で入った人は、言えば病院内を歩けるし、申請が通れば外出できます。
でも、強制入院の人は、医者が良しと言うまで部屋から出られません。保護者が帰してと言ったとしても、医者がいいと判断するまで外に出してもらえないんです。病院によっていろいろ制約は違うと思うんですけど、冒頭も言ったけど、任意と強制は扱いが違うんですよね。

で、脱走は任意から強制になりうる行為です。自殺に走ったとみられて、少なくとも数日は出してもらえなくなります。まぁそもそも脱走できるシステムでないことの方が多いので、捕まることが前提と考えたらめちゃくちゃ損というか、最悪の行為なんですよ。まぁそんなこと考えられるくらい冷静やったら脱走なんかせんやろうけどな!!!!

で、私は希死念慮があって、結構頭いかれ度合いも酷くて、(自殺しようとした次の日やからね。)脳内はやばい状態やったんですけど、見かけは落ち着いて見えたのと、主治医の人があんまり話聞かなかったおかげで、誤診と言えば誤診なんですけど、院内での出歩きは申請すれば自由になってたんですね。

そこで、院内を散歩すると見せかけて脱走しようと画策し始めた。
幸い財布はさっき売店に買い物行ったんで手元にありました。看護師さんに
「すみません。もう一度院内を散歩したいんですけど」
というと、

看護師さん「一日一回までやけど、うーん。今回だけね。次回からは一回で済ませてね」

と言われた。

次回ぃ……???そんなものはねぇよ……!!!

と思いながら笑顔ではーいと答え、院内を歩き回る。
話したことがある看護師さんは入院初日だけあって3人ほど。その3人に見つかり、声をかけられなければミッションコンプリーーーツ。

今まで自殺以外悪いことらしい悪いことしたことなかったんで、正直めちゃくちゃ精神衛生によくなかった。自殺の時よりドキドキした。この時ほど自分の目立つピンク髪を恨んだことはない。かわいいけどな。

これはインパクト強い



(なるべく早歩きで、でも目立ったら終わる。ゆっくり行くべき?でもみられたら終わり…。どこから走るべき?もう走っていい??見つかったらどうなる?)

とかもう思考にならない思考をしながら財布だけ持って病院の外へ出て、駐車場に入ったあたりで全力疾走。
今思えば走るタイミング早かった気もするけど幸い誰もみておらず。

病院へはいつも車で来てたし、道覚えるのも苦手やったし、方向音痴やったから、もうなんかようわからんけどできるだけいろんな角を曲がった。
道ゆく人みんなが病院関係者に見えて、(大丈夫??見つからない??携帯もない。どうしよう。とりあえず駅に…)と思った時に気づく。

え、売店で買いすぎた??これ。

所持金残り500円。これ、ここが何駅やったら足りるん??てかここどこ???

そこで目の前をバスが通り過ぎた。
「---駅行き」

うわ、うわ、やばい。乗せて………乗せてくれ………。

でも、バス乗ったらお金足りないの確定する。
とりあえず駅が近くにあることはわかった。それでいいじゃないか。(近いかわからんけど)
その日は真夏日、くそ暑い中リスカを隠すために私は長袖。はぁ、しんどきゃよかった。(本日2回目)

とりあえずコンビニ……てか、地図……ここどこ……

とさ迷うこと15分ほど、バス停に地図を発見した。
アナログ最高。

まぁ地図はろくに読めないが、最寄り駅の名前が確定する。聞いたことはある。だがどんくらい遠いかわからん。とりあえずコンビニにいって銀行口座の残りを確認したい。なんでクッキー買ったんやあの時。食べてないし。
そしてコンビニ発見。祈る気持ちで銀行口座を確認する。たのむ。1000円ないと引き出せない……たのむ………。

¥5000

めちゃくちゃあるやないかーーーーーーーい。

不安障害の症状の中に貧困妄想ってのがあって、お金がないとめちゃくちゃパニック起こすってやつがあるんやけど、それのおかげでいろんなところにお金がしまってあるんですね。家のタンスにもあるし、PayPayにもある。

不安障害、万歳。(不謹慎)

まぁ病気認定されてるだけで、言うてもうたら心配性のやばいばんやからね。役に立つこともあるね。

とりあえずなんかのために4000円下ろして、(手数料で5000は無理やった)駅に向かう。ただ駅がめちゃくちゃ遠かった……。
まぁ車で行く病院ってことはアクセス悪いに決まってるからな。
地図もバス停で見たきりやから、こっちでほんまにあってるんか……こっちなんか……と思いながら向かう。
途中で優しそうなお姉さんおったから「すいません○○駅ってこっちですか?」と聞いたら
「たぶんあっちかな」と教えてくれた。

間違えてたら死んでやる………

そんなこんなで駅にたどり着いて、電車乗って、(これからどうしよう。)と考えた。家に戻っても誰もおらんやろうし。誰か戻ってくるまで耐久するか。と考えた時、

(家に戻る途中に、卒業した高校があるな………)

と思い至る。ちょっとだけ歩くけど、もしかしたら保護者の携帯番号が残ってて、親と連絡が取れるかもしれない。

精神病棟から脱走すると、病院の人に見つかったら戻って強制入院やし、警察の人に相談してもまぁ病院戻されると思う。だからといって家族のもとに戻っても、同じ病院に戻される可能性もある。患者さんにとったらそれが最善の場合もあるとは思うんやけどな。

でも私は、病院や警察じゃなく、母に最初にコンタクトを取れれば、同じ病院に戻されることは絶対にないと確信を持ってた。

だって親ガチャSSRマザーだから

私が今まで本当に色々あった人生で、とりあえず20そこらまで生きているのは、親ガチャSSRマザーのおかげでしかない。これまでも幾度とお先真っ暗になったけど、いつもマザーだけは信じて戻ってきていいと思わせてくれる向き合い方をしてくれてた。
私は最後にそこに縋ることが出来た。脱走してまたもっかい自殺とかもできたんやろうけど、そう簡単に死なせてくれない世の中ってことは結構思い知ってたし、もっかい母のあの顔も見たくなかった。

とりあえず母に今の状況を伝えなければ。
最初に、私の口から、母に伝えなきゃ。

といっても高校卒業したんは四年前。いやぁ、ないかなぁ。と思いつつも、家で張ってる警察に捕まるエンドよりかは良いかと思い高校へ向かう。

でも私はもう少しよく考えるべきだった。
保護者の名簿どころか、私の知っている先生すら誰1人残ってなかった。
1時間くらい歩き通しで、足の豆は潰れて、汗だく。

「あぁ、終わった。」

職員室前で過呼吸を起こしてしまった。
そのまま帰ろうかとも思ったけどそんなおもろい、いや、心配するシチュエーション。さすがに先生方が帰してくれるわけもなく、とりあえず別室で話を聞いてくれた。しらないおじちゃん。

おじちゃん「なにがあったの?」

と聞かれたけど、
もう、なんか、な、なに話せばいい???
これまじで教えて欲しい。この2日間の内容をどう伝えろと???

とりあえず、卒業生であることと、母の電話番号が欲しいことを端的に伝えて、もちろん「なぜ?」とか、「携帯は?」とか言われるけどもう、もう、なにから言ったらええ????という状態で、もう一身上の都合としかいえなかった。

そんなめちゃくちゃ怪しい私のことを毛嫌いもせず、その人はめちゃくちゃ真摯に調べてくれた。もうなんか、優しい。辛い。すいません。

そこから30分ほどたって、院内散歩が可能な時間が終わり、さすがにそろそろ脱走バレたなって時間になったころ、おじちゃんが帰ってきて、

おじちゃん「この番号しかわからなかった…かけてみたけどかからなかった…。今本部にも問い合わせてるから、時間はかかると思うけどわかったら伝えられるんだけど……」

その番号はもう使ってない家の固定電話の番号だった。本部に問い合わせてわかったとしても次は私に連絡する手段がない。携帯ないんだもの。

めちゃくちゃ丁寧にお礼を言って頭を下げて、もう最後にめちゃくちゃ気休めで、

「もしも番号がわかって母に繋がったら、家の前にいる。と伝えてください。」

とお願いして、びっくりさせた他の先生方にも謝って、正直、絶望ではあったけど、みんな優しかったから、
「まだ、もうちょっと頑張って家まで行って、警察に捕まってから死のう。」
と思った。

それから私は家に向かって電車を乗り継いで、家にたどり着くわけなんだけど、警察はいなかった。まぁ母もいなかったけど。

これは5時間耐久コースだ。と思って腰を下ろした瞬間、母が走って向かってくるのが見えた。

「せっかく病院も探してくれて、入院までさせてくれたのにごめんなさい。」
と泣きながら言うと、母は
「信じてよかった。帰ってきてくれた。」
と泣いた。

これだからSSRは…。(泣)

私は、(高校の先生方に心配かけるだけかけてしまったな)と思ってたけど、後から聞いた話で、私が高校を出てからからほんとにわずか三分後くらいに、本部の人が電話番号を突き止めてくれたらしい。
(すぐそこにまだいるかも!!!)と高校の先生は私を追ってくれたらしいけど、見つからずに、あの伝言を伝えてくれたらしい。
あのおじちゃん……love so sweetすぎる。

病院の人とか高校の人とかは、
「途中で自殺するかもしれない、違うところに行くかもしれない。とりあえず警察に通報を」
ってなったし、実際通報はしてくれたらしいんだけど、母はその時、

「娘が家にいる。って言ってるから、絶対にいる。信じたい。」

とすぐに家に向かってくれたらしい。
だから電車で家に向かった私とほとんど同じ時間で到着してくれた。

帰ってきた私に母は、

「もう病院がどうとか脱走がどうとか、もうとりあえず全部置いといて、死ぬっていう選択を取らなかっただけでいい。」

と、言ってくれた。

もう、これだからSSRは……。(泣)

その後、どうなったか。

その後、心配をかけた関係各所に連絡して、報告し、謝り、最後に病院に電話をかけた。

電話を置いたあと、母が、………?みたいな顔をしてたので「なに?」と聞くと、

母「いや、なんか、もっと、心配しました!!とかすみませんでした!!とかを想像してたんやけど、あ、見つかりました?んじゃもう退院でいいすか??はい。じゃあ、おつかれさまでした。って言われた。」

説明する手間省けた〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
そこでとりあえず母に主治医のことを伝えて、その病院はもう退院する、ということになった。
もちろん私は要観察なので、とりあえず母と一緒に暮らして、きちんと合う病院を探していくことになった。

今回もまたまた色んな人に迷惑も心配もかけてしまうことになったけど、みんな「死ななくてよかった」だけは同じ気持ちだったと思う。前回の記事でも言ったけど、自殺はほんと、だめよ。迷惑をかけるのは一緒でも、その後「見つかった!よかった!」って結末にならないのは、もうみんなを不幸にする。だからって脱走がよかったとは言わんけど。
あと、医者には合う合わんがある。今回の先生はめちゃくちゃ悪者!とか、言うつもりは、

いや、

あるけど。

私にとって合わんかっただけかもしれんからね。しっかり厳しくしてくれる人のところやと治りが早い人も、

おるんか?

もうしらん。あいつのことはもう知らんけど、

医者には合う合わんがある!!!これは、マジで今まで何回も経験してきたことやから、1回医者行ってボロくそ言われても、そいつが悪いから!!!医者は確かになるの大変やし賢いし給料ええけど、みんながみんな性格診断受けて、はいあなたは優しい人やから医者おけまるだよーって言われるわけじゃないからな。
賢さとか努力とかと、人となりはやっぱり別物やから、自分に合う人を見つけやなあかん。
これまで何回か医者で失敗してきてる私とのお約束だぞ。

というわけで3時間弱で入院して退院した女の話でした。これで笑ったやつ、全員不謹慎。

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