言い続けたら、デザイナーになれた話(スピリチュアルな話ではありません)
これは私の体験に基づく一つの実証です。
たまに「やりたいことが特になくて…」という人の話を聞きますが、私は全くもってその逆、やりたいことがありすぎる、少々前のめりな人間でした。
日本のものづくりに興味があり、地元札幌の大学でデザインを学んだ後、奈良にある工芸雑貨メーカーに就職。1年の店舗勤務を経て、本社職に移り、最初に配属された部署は生産管理課でした。
生産管理とは主に商品の量産を担う部門です。デザイナーから商品の仕様書を引き継ぎ、製造元に発注、工程ごとに仕様書通りに作られているかを検品し、納期までに納品されるよう管理する仕事です。
ものづくりの中枢を担うその仕事にやりがいを感じながらも、大学でデザインを学んできた私は、「いつかここでデザインの仕事がしたい!」とずっと思っていました。
そのため、当時、生産管理の仕事を完璧にこなせていないくせに、自分のスキルを返りみず、とりあえず「デザインの仕事がやりたいです」とことあるごとに上司にアピールをし続けていました。
今思えば随分と図々しい奴だな…と思うのですが(多分思われてた)、改めて振り返ってみると、不思議なことに言い続けていたことが叶っていることに気がついたのです。
デザインの仕事がしたい →叶う
プロダクトのデザインがしたい →叶う
木製品がやりたい →叶う
地元北海道に還元できる仕事がしたい →叶う
アイヌ文様の照明を商品化したい →違う形で叶う
いつか自分でブランドを立ち上げたい →叶う
かかった年月はトータル8年くらい、それなりの期間ではありますが、全部叶っている・・・!
もちろん、自分が有言実行したから叶っただけでは?とも思うし、実際にそうなんですが、それだけではありませんでした。
「実現可能な環境が、向こうからやってくる」
そういうことが幾度となくあったのです。
デザインの仕事がしたい
これは奈良の会社に就職して3年目のこと。冒頭で述べた通り、はじめは生産管理と言うデザインと全く関係のない仕事をしていたのですが、その間も「デザインの仕事がやりたいです」と上司に言い続けたことにより、やる気があるならやってみようか。ということで少しずつ担当させてもらえるようになったのです。
もちろん最初は生産管理の仕事をこなした上での話だったので、1シーズンに1〜2アイテムのみとスロースタートではありましたが、それでも初めて自分がデザインした商品が店頭に並んだときは、家族に連絡するくらい嬉しかったことを思い出します。(凄腕の先輩方は、1シーズンに7、8アイテム×4シーズンとか開発していました…)
アイヌ文様の照明を商品化したい
これは私が日本のものづくりに興味を持ったきっかけでもあるのですが、大学時代、卒業制作でアイヌ文様を取り入れた照明のプロトタイプを作ったことが始まりでした。
卒業制作をそれなりに頑張っていた私は、そのプロトタイプを引っ下げて、アイヌのアーティストの方に講評をいただこうと、とある企業に訪問したりもしていました。(今思うとなかなかの行動力だ・・・。)
学生の提案にすぎないので、もちろん商品化されることは無かったのですが、就職してからも、「いつか商品化したい」と周囲に話していました。
すると、私が奈良の会社を辞めて札幌へUターンした時、その照明の事をずっと覚えていてくれた企業の社長が、「会わせたい人がいる」と、アイヌの方を紹介してくれたのです。それが今の弊社の代表、萱野でした。
後に、萱野とその社長と二風谷ワークスという会社を立ち上げ、本格的にアイヌ文様を取り入れた商品作りをすることになります。そして今、まさに照明作りにも挑戦しようとしています。
全て書いていると長くなってしまうので割愛しますが、
「言い続ける」ことにより、言霊となって人から人へ伝わり、願いが叶う。
それを何度も経験しているからこそ、今も私はやりたいこと、実現したいことはできるだけ口に出して言うようにしています。
言い続ける時のポイントは、「must」ではなく「want」を意識すること。
やらなきゃいけない。やるべきだ。と思いすぎるとできなかった時に落ち込むし、フラストレーションを感じてしまいます。やりたいな、できたらラッキーくらいに思っていた方が、長期的にモチベーションを保ちやすいのです。
もし、今やりたいことができない環境にいて、不満に思っている人がいたら「◯◯をやりたいんだ!」と周りに全力でアピールしながら、目の前の仕事を真摯に一生懸命こなしてみてください。
そうすれば、いつか道は拓けます。