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【短歌】愁恋歌

片時雨 濡羽の髪に露落ちて
いろづく秋に も染まらまし


遥か遠くに見える空は
どこまでも高く青いはずなのに

彼女の踏みしめる土は
水を含んでしっとりと柔らかい。


しとしとと降り止まぬ霧雨は
艶やかな黒髪をさらに深く濃く沈めてゆく。


漆黒の髪に包まれた、雪のように白い肌。


紅色のもみじや山吹色の銀杏が鮮やかな木々の中に
いろを失った世界がひとつ。


頬を伝う雫は
鮮やかな風景を反射するばかりで
決して彼女を同じ色に染めてはくれない。


彼女の頬を紅く染めることができるのは
遥か彼方の高く青い空だけなのだ。



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