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第六十九話「学会(休憩室)への出店準備②レシピ決定」2024年12月7日土曜日、8日日曜日 両日とも冬晴れ

 次に、あおやまさんと相談したのはコーヒー豆の選定だ。
 あおやまさんが所属するロースター、MOUNTAIN MOVERさんにお願いすることにした。あおやまさんのアドバイスをいただくからその御礼にということもあるが、何よりも私がこのロースターの豆が好きなのだ。中国雲南省の農園で栽培される高品質の豆。その味わいを最大限に活かす焙煎技術。紅茶のような爽やかな酸味から、コクのある重厚感まで多くのラインナップがある。
 学会の休憩室。喫茶店でも、流行りのカフェでもない環境。メニューはホットコーヒーのみ。
 リラックスと緊張の持続。それを両立させるようなコーヒーにしたい。
 MOUNTAIN MOVERさんの豆を少しでも知ってもらいたいという欲もある。MOUNTAIN MOVERさんの豆に任せっきりではなく、レシピに自分のセンスも打ち込みたい。休憩室の紙カップのコーヒーに、少しだけハッとさせたい。よく知ったOUNTAIN MOVERさんのコーヒーならそれが実現できると思っていた。
 サンプルが届き、クレバーと別ブランドだが同コンセプトの抽出器具である「スイッチ」でレシピ作成をした。

スイッチ


 OUNTAIN MOVERさんから提案された豆は、ブランデーのような洗練された香りと重厚感があった。素晴らしい豆だった。が、反面、最近のコーヒーシーンのお洒落感もあった。もっとフラットな、最近のコーヒーシーンを知らない、興味のない人へストライクゾーンを広げたいと感じた。
 端的に言えば、より濃く、重くしてコーヒー感を強くしたい。それが学会の休憩における、「緊張感の持続」をもたらすと思った。
 一般的な分量より豆量(=粉量)を増やした。蒸らし時間を長めに取り、さらに浸漬時間も1分延ばした。濃さと重さが増す。連続抽出のオペレーションを圧迫するが、これは致し方ない。味わいと自分のセンスを優先する。ここは譲れない。
 レシピは決まった。これでいこう!

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