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パタゴニア環境助成プログラムに採択されました!

嬉しいニュースが続きます。
パタゴニア環境助成プログラムへの助成金の申請が、無事に採択されました!

プロジェクト名は、
「ヒト・ウシ協働環境再生型農業による大村湾再生」
Restoration of Omura Bay through 'human-cow-collaborative' regenerativefarming

活動の中長期目標

我が国の中山間地域では、人口流出等による農林業の担い手不足により、耕作放棄地、放置された山林・竹林が増えています。
このことにより、ヤブ化した土地の地下で土が硬くなり、海に適切な栄養分が流れないようになっています。
結果として、長崎県西海市が面する大村湾では、年々磯焼けが進み魚介類を減少させる大きな要因の一つと言われています。

我々は、この問題に対し、
①動物の放牧
②人工林の間伐
③無農薬の米づくり
④藻場の再生
を相互に関係させて、森、川、里、海の循環及び本来の生態系を再生し、大村湾をかつての豊かな海に回復させる「ヒト・ウシ、協働環境再生型農業」の確立を目標としています。

戦略

第1ステップ「牛の放牧」
耕作放棄地や放置林の土中環境を改善するため、牛の耕作放棄地への放牧を積極的に進めます。
牛はその大きな身体でヤブの草木を倒し、荒れ地で草を食しながら開拓していく能力を持っています。
実際に長崎県西海市にて耕作放棄地や放置林で牛の放牧を行っていますが、山間の棚田のようなぬかるんだ土地や起伏の激しい山地など、重機や人の入れない土地でも牛ならば開拓可能であることが確認できています。

第2ステップ「生物系有機物による土壌活性」
牛の胃は発酵タンクの役割を果たしており、草を反芻し発酵した糞を土に還すことで、土中の微生物を豊かにし、荒れて固くなった地面を水の吸収が良い土中環境に改善してくれます。
実際に、長崎県西海市の耕作放棄地では、放牧開始から約4か月で土のグライ化(酸素欠乏し固くなった地層)が解消され、水はけの良い土地に再生されることが確認できました。

私たちは上記2つのステップを踏むことにより、人と動物が協働した環境再生型農業のモデルを確立し、まずは大村湾沿岸域に広げていくことで、山から海へダイナミックな循環の再生を行い、生態系を回復させていきます。

本プロジェクトが戦略の中で果たす役割

私たちのチームは現在、長崎県西海市でのみ「土を良くする」森川式放牧を行っていますが、大村湾再生のためには、放牧地を大村湾沿岸地域に広げる必要があります。

申請プロジェクトでは、
①「土を良くする」森川式放牧を広げるための出張放牧のモデルを確立し、
②牛の放牧の入口を整えることで、
より広域に・速やかに土中環境の改善が進み、山から海へ適切な栄養塩が流れることで、大村湾における藻場と生態系の再生を早める役割を果たせると考えます。

また「ヒト・ウシ、協働環境再生型農業」によって大村湾の再生が実現できれば、国内外の中山間地域における同様の問題の解決策として世界に提案することができます。

環境助成プログラムによって実現すること

大村湾沿岸域での森、川、里、海の循環の再生のために、「土を良くする」森川式放牧を各地に広げます。
現在は長崎県西海市でのみ行っている森川式放牧を出張形式で行う(出張放牧)ことで、大村湾沿岸各地の耕作放棄地や放置林のヤブ化を解消し、より広域で土中環境を改善していきます。

牛を飼ったことがない人や、お金が無い人でも、土地を良くしたいという想いと放牧可能な耕作放棄地さえあれば牛を導入し放牧できるように、放牧に必要な電気柵などの物品の準備や、牛の飼育指導、地域で連携した放牧場の見回り等の体制を整えます。

こうして、「土を良くする」森川式放牧の出張放牧の入口を整え、実践する人を増やします。
私たちの行う「ヒト・ウシ、協働環境再生型農業」を、
森、川、里、海の循環再生モデルとして確立し、将来的には大村湾沿岸に限らず国内外で耕作放棄地や海の磯焼けなどの問題を抱えている他の地域にも広げられるように、仕組みを整え、発信していきます。

活動の課題と背景

現代社会では、工業的大型農業・畜産によって土中環境が悪化し、地球規模の気候変動の原因となっています。
未来のために農業や畜産をより持続可能なものに変えていく必要があります。
私たちは特に大型畜産動物である牛を環境再生型農業に組み入れることで、土中環境の再生を早められることに着目します。
大村湾沿岸をはじめとし各地で土中環境の再生を早めるために「ヒト・ウシ、協働環境再生型農業」を広げていきたいですが、従来型の畜産農家には、私たちの放牧による手法を理解してもらうことが難しい現状があります。
一方で、環境問題に対する意識が高い個人が牛を自分で耕作放棄地に放牧するには、技術的・資金的なハードルが高いです。


環境保護における意義

土中環境の改善は環境保護において本質的に重要です。中山間地域における耕作放棄地の大半が、重機が使えない起伏が激しい土地で人の手だけで整備することが難しい一方、牛は起伏の激しい土地も得意で、牛が暮らすだけで土地を再生することができます。
私たちが行う森川式放牧は、土を良くすることを飼育方法の中心とし、薬剤は一切使用せず、牛の放牧環境における微生物や生態系を守ります。
胃腸の環境が良くなるようにおからや酒粕などを発酵させた飼料も与えます。
この手法で放牧すれば、牛が草を食べ大地を踏むことで大地を耕し、糞を落とすことで土中に酸素や水が供給され、良い土中環境へと改善していきます。

5月にはパタゴニアスタッフの方も現地を見に訪れ、耕作放棄地に自然放牧した牛を見て、大変感銘を受けたご様子でした。

これまでの活動をさらに多面体に組み上げて
パタゴニアが目指す環境再生型農業の日本版を、モデルとして確立していきます!

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