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美術館をいろいろな視点で楽しむ記事5選
マガジン「みんなのアートコラムまとめ」から、月ごとに投稿された記事をテーマに沿ってピックアップし、短い感想文を掲載しています。紹介ではなく感想なので、私の意見としてお読みください。
9月のテーマは「美術館で考える/感じる」。
いろいろな展覧会が再開されて、スケジュール調整のため注目イベントが盛りだくさんな芸術の秋が、より楽しくなるヒントを探してみました。
何もない美術館は、私の目指す家だった|siromiさん
「作品がないなんて、嘘じゃん」
界隈でも少なからず話題になった「作品のない展示室」についての記事。建築を見るために美術館を訪れる方は多いものの、一般客がまっさらな美術館を覗く機会は中々ありません。
「美術と生活の関連」という視点は、アーティストが考えてきた問題でもあると思いますが、展示室から向き合うという視点もあるんですね。
とはいえ、美術館に住みたいと思うことがあまりないのは、混雑などで周りが見えていないからなのでしょうか。私も世田谷美術館行けばよかったな。
[展覧会から生まれる「物語」]|アートハッコウショ(高橋紀子さん)
実際見た訳はないのに、たしかにその星空は美しかった。
作品への理解や印象を深める方法のひとつとして、物語を想像することを提案されています。とても引き込まれるお話でした。
私は何かしてたっけ?と考えたときに、例えば絵画なら、それを部屋に飾る想像をしていたことを思い出しました。ミュージアムショップでレプリカを購入できたりしますが、実物を置くことを想像するんです。
部屋のここに飾って、そしたら私は家族とどんな話をするだろう、などと考えると、分からない作品もすっと自分の中に入ってくるように感じます。
ピーター・ドイグの絵画に、オリオン座を結ぶ|Yさん
不穏な雰囲気をまといながら、うそみたいに美しい天の川をもつこの星空は、いつの、どんな空なんだろう。
前掲の記事と同じ作品を扱っていますが、全く違う視点。ピーター・ドイグが《天の川》に託した想いを見つける新しい糸口は、実際の星座を照らし合わせて結ぶ、という行為でした。
美術に限らずですが、表現物では細かいモチーフや舞台、時代背景のひとつひとつに意味が込められていることが多いです。「自由な見方」が訴えられることがありますが、この「自由」にはその底辺に知識があったりするものです。
キャプションだけに囚われず、気になったところをとことん調べるのも楽しみ方のひとつだなと思いました。
わからんけどね。|みやさん
ちょっとわたしには難しすぎるなぁと思ったけど
ちゃっかり2回泣いた。
現代アートは分からないけど、涙が出てくる。アートには、他の表現物とはまた違ったパワーみたいなものを感じますよね。これって、感じようとしない人には分からないんじゃないかな。
美しい景色を見て涙が出るときって、その景色そのものに意味があるのではなく、見た人の経験と結びつけてその人なりの意味を見出しているわけですが、分からない美術に対する感情はこれに近いように気がします。
《目標の定量的無限性》は、私も泣きそうになった作品でした。
私が美術館に求めているもの。|もくれんさん
美術はその点、ラクだ。考えさせる作品もあるけど、感じることに集中できるから。
こちらの記事でも美術を「感じる」ことについて書かれていますが、先ほどのみやさんとは違い、現代アートは解説がまどろっこしく疲れるとのこと。
美術には言葉がほとんど使われないので、ある意味人間を縛り付ける言葉を美術館に行くことによって一旦忘れてみるとすっきりするのは、分かる気がします。
アーティストは作品で全てを語るべき、という考え方があるように、現代アーティストは少し語りすぎるのかもしれません。それを求める人もいるから難しいですが。
○
初月はなんと私がこれまで書いた記事数より多い57本もの記事をマガジンに追加させていただいたようで、純粋に楽しんで運用できていたのかなと思います。
ご紹介したものの他にも素敵な記事がたくさんあるので、下のリンクからお気に入りを探してみてください。
改めてnoterのみなさん、素敵な記事を読ませていただきありがとうございます。次の感想はまた来月。
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