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美術館に人生初めてハマった理由
これまで30数年、美術館はつまらない退屈な場所だと思っていた。美術館の良さがこれっぽちも分かっていなかったが、つい数日前に、青天の霹靂のように美術館に完全に心奪われる瞬間が訪れたのだ。
小さい頃からよく美術館に連れて行かれていた。私は典型的な子どもで美術館をただの広い遊び場くらいにしか捉えていなかった。大人になってからも状況は変わず、美術館を訪れはしたが誰もが知っている古典作品を撮影して終わりだった。絵画から心動かされるような体験は一度もしたことがなかった。
ではなぜこのような瞬間が突然訪れたのか? 新鮮な気持ちを忘れないためにもここに書き記したい。
もし今お読みの方の中に、古典アートに全く興味ない人がいたら、興味をもってもらう一つのきっかけになったら嬉しい。
きっかけは世界史の学びなおし
実は、ここ数ヶ月、毎日のように世界史を勉強するようになった。世界史の学習は高校1年生以来。当時は歴史を学ぶ意味がさっぱり分からない生徒だった。もちろん転機として、欧州に移住したことも大きいが、意外にもGoogleのおかげと言っても過言でないだろう。
私の幼少期は、ネットなどなく情報は「百科事典」しかなかった。しかし今の時代は、Googleで検索すれば、世界中の大量の知識・叡智にアクセスすることができる。英語や多言語で検索すればなおさら、希少な情報に行き当たる。
初めは何気ないことから始まり、日常生活で気になったことを検索していた。例えば、オランダ人から「Zeeland(ゼーランド)」という地名を聞き検索してみた。すると出てくるではないか「New Zealand」との関係が。「New Zealand」は元々オランダ人が発見し(オランダの)ゼーランドに似ていることから「New Zeeland」と命名されたということが、わずか2分で分かってしまう。
多くの人には「へー」で終わることかもしれない。しかし、私にとっては、日本の教科書に載っていないであろう「トリビア」を見つけ出した瞬間がとても楽しかった。
ちょっと脱線してしまったが、こういうトリビアが溜まっていくといつも歴史にたどり着くことに気づいた。
例えば
- なぜ「New Zealand」はオランダ人が最初に発掘し命名していたが、最終的にはイギリスの植民地になっているのはなぜか?
- かつてデンマークは、ノルウェーもアイスランドも支配下に置く王国だった。今では小国で目立たない国だがなぜそんなに強かったのか? 等々。
国の歴史や力関係、そして、今との繋がりにも想像が広がる。Wikipediaを次から次へ読み漁るうちに、だんだん必要性に駆られてきた。
「世界史を学ばなければいつまでも全体像が見えてこない...」
世界史の資料集を取り寄せオンラインで勉強を始めた。初めは横文字だらけで困難を極めたが、もうかれこれ2ヶ月ほど学んでいる。やっと西洋史を終えるところで、これから中国史だ。道のりは長い。
が、その途中でこの衝撃が起きた。
学んだばかりの画家である、レンブラントの「夜警」を見にオランダ国立美術館に行った時であった...
美術館も、つまるところ歴史だった。
いくら歴史を学んでも、美術館に対して相変わらずのイメージを持っていた。が、「夜警」の数年に渡る修復が完了間近で、その様子を鑑賞できる期間限定の展示会があっていたので、もの珍しさに惹かれて観に行ってみることにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1639390376946-NmKLrfaMA8.jpg?width=1200)
絵画「夜警」はもちろん素晴らしかった。しかし、美術館に足を踏み入れた瞬間から自分の感覚が以前とは全く異なるものであることに気づいた。
絵画の説明を理解し、想像力を膨らまして鑑賞している自分がいたのだ。
そう、カール5世、フィリペ2世の時代と言われても、見当がつくようになったのだ。
これまで歴代の王の名前はおろか、時代背景、各国の力関係、当時の市民の生活についてほぼ無知と言ってもおかしくなかった。
しかし今では、歴史の先生の説明が頭に蘇ってきて、自然と理解できてしまう。と同時に、画家の置かれた状況に思いを馳せて絵画を鑑賞しているのだ。
スポーツに例えるなら、野球のルールやシステム、選手について何も知らずに観戦していたところから、全てを知った上で観戦している状態になったような感覚に近いのではないだろうだ。
そりゃあ、エリザベス1世が、カール5世が、フェリペ2世がさっぱりであったなら、絵画の面白さなど分かるはずがない。
想像力が大いに刺激さられると、作品とともに過ごした時間が記憶にしっかり刻まれる。最低限の歴史知識があれば、美術館は「知恵の宝庫」に成り代わることが分かった。
海外に住まなかったらこの気づきはなかったのか?
じゃあ、日本に住んでいる人は絵画を楽しめないままなのか?を自問自答してみる。海外に住む事で新しいインプットが増え、結果、知識が広がる事は否定できない。しかし日本には、出口治明さん、池上彰さん他、素晴らしい著者の方々がいる。私もいつもKindleでお世話になっている。
本であってもネットの記事であっても、気になる事をそのままにせず「検索」してみることから一歩が始まるのではないだろうか。
私のように疑問で思ったことをいちいちWikipediaで手繰っていくうちに、中には、私と同じように歴史を一から学ぶ人も出てくるかもしれない。今はネットで簡単に検索できる時代だが、知識を持って点と点を繋げられる力は、一生の財産になると感じている。美術に限らず、だとは思うが。
最後に
お恥ずかしいながら、私は30数歳にして、美術館の魅力に初めて気がついた。これから海外旅行するときは国立美術館に立ち寄らないと気が済まないだろう、と感じている。
お読みいただいた方はどうだろうか?
歴史に興味を持ったがどこから手をつけたらいいか?と考えているなら、以下のようなベストセラーを読んでみるのもよいかと思う。
■一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
カテゴリ1位を連続記録中の、高校教師Youtuberのムンディ先生の著書。(高校生なら誰でも知ってる?)
歴史を学び直したい社会人にぶっちぎりで売れている。歴史の全体像をわかり易く教えてくれるだけでなく、歴史的イベントの「なぜ(因果関係)」に答えてくれる。初心者には少し読み応えはあるが、質の高さに満足するはず。
教養のために世界史を理解・学び直したい人におすすめの1冊↓
■一度読んだら絶対に忘れない世界史人物辞典
同じくムンディ先生の、世界史主要人物に焦点を当てている書籍。
人物の概要だけにとどまらず、関連する人物や芸術作品、音楽や旅行など、豊富な情報で、大人の好奇心を満たしてくれること間違いなし↓
本で全体像をつかみ、興味がある時代・人だけ、じっくり探求してもいいかもしれない。インターネットでも十分だ。今からでも遅くない。その国の見方、美術品への背景理解は確実に変わってくるだろうと思う。
おしまい。(この記事への「スキ」「フォロー」は泣いて喜びます!)
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![ニケ‖オランダ在住、翻訳ジャーナリスト](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57662775/profile_ce1b36b656a5a6c6da74a8498b120baf.png?width=600&crop=1:1,smart)