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Unipos(ピアボーナス)を運用するときにやってはいけないこと

こんにちは、MOCKSモリシゲです。

以前勤めていた企業で、「Unipos」というサービスを使っていました。
「ピアボーナス®制度」と呼ばれるもので、従業員同士がオープンにお互いの良い行動をメッセージで送り合い、そのメッセージにポイントが付与できるというものです。

そして、もらったポイントを賞与に(1ポイント=数円など)変換し、従業員に還元することで、心理的安全性や働きがいを感じてもらおうというモチベーションアップにつながるわけです。

このUniposというサービス、個人的にはかなり好きで、「ちゃんと自分の善行を見てくれている人がいる。それをお金として還元してくれる。」という特性が、自分のモチベを高めてくれていました。

しかし、使い方を誤ってしまい逆効果になってしまった事例があるので、反面教師的な意味でみなさんの参考になるかなと思い、投稿しています。

1ポイントあたりの金額を下げてはいけない

導入当初は正社員は1ポイント=3円に設定されていました。
1ポイント1~5円の範囲で設定できます。

ここのポイント設定は会社によって原資をどれくらい用意するかによるので、導入時には何円でも問題ありません。

運用から数年後、パートやアルバイトの従業員も増えてきて、彼らにもモチベーションを上げてもらうべくUniposの利用可能にしました。
そして、正社員とは求められる能力も条件も違うというところでパート・アルバイトは1ポイント=1円に設定していました。

この金額差については、この時点では何かクレームはなく、「まあ、そりゃそうだよね」という感じで、問題なく運用できていました。

しかし、ここで事態は急変します。

「同一労働同一賃金の観点で、全従業員を1ポイント=1円にします。」

3ポイントもらっていた正社員からは当然、「え、今まで評価されてきたことを1/3として評価されるの!?」という気持ちが湧いて、Uniposの投稿数はみるみる下がっていきました。

称賛する側としても、「100円分の称賛を送りたいのに、以前よりポイントが3倍必要になる」事態になりました。
ユーザー1人が送付できるポイントには上限があるため、1称賛あたりの価値と、称賛できる人数が下がることになります。

もちろん結果として、既存社員の「Unipos離れ」が起きてしまい、1ポイント=1円がデフォルトで入社した従業員だけがアクティブユーザーになっていく感じになっていきました。

「全員3円にするならいいが、なぜ低い方に合わせるのか。」
「従業員の称賛すべき行動を、経営側が価値を下げたことが萎える。」
という声も上がっていました。

結論として、「1ポイントあたりの金額を下げたら、既存社員のモチベーションが下がり、ユーザーが新規に偏った」ということになりました。

Uniposのランキングで表彰してはいけない

「さぁ〜て!今月のUnipos王は!?」

という感じで、月ごとにUniposの集計結果をみて社員を称賛する機会があったのですが、これがまたモチベーションを下げる原因となりました。

一見すると、ポイントが高いひとが称賛されるのは当たり前じゃない?と思うのですが、ポイントが高くなりやすい条件を考えれば、表彰が悪手であることがわかってきます。

1ユーザーが月に送れるポイント上限は決まっているという話をしましたが、これはつまりポイントがユーザー数に比例しやすいということです。

例えば所属部署人数6名のAさんと、所属部署人数101名のBさんを考えれば、
月に送れるポイント上限は400ポイントとすると、

Aさんのもらえる最大値は
(6-1)×400=2000ポイントが最大値です。

Bさんのもらえる最大値は
(101-1)×400=40000ポイントが最大値です。

これから見てわかるように、業務上関わる人数が多い人(部署人数が多い部署)ほどポイントが高くなる傾向がでてきました。

当然、Aさんのような部署人数が少ない従業員たちは
「こんなの絶対上位とれないじゃん」
「なんで部署ごとに分けないの?」
「毎回表彰される人の部署が同じで萎える」

…と不満を感じ、モチベーションが下がっていきました。1ポイントあたりの金額が下がったのにも拍車がかかっていた感じもありました。

結論として、「ランキング表彰は全社でやると部署人数の偏りがでて、不公平になる。どうしてもやりたいならうまく切り分けられないか検討すべき。」ということになりました。

内製でUniposを作ってはいけない

Uniposの利用料金をずっとは払いたくない。内製して節約したい。

要するにもう機能はわかってるからパクって作って、社内だけで使っちゃおう作戦です。コストを下げられるところは下げるというのは経営判断としては間違ってはないと思います。

ですがサービス開発というのは難しいもので、単純にパクっただけではうまくいかないこともあるんだな、ということを痛感させられることになります。

特に考えたいのは、開発リソース問題と開発スキル問題です。商品としての開発ではないので、会社の余力を使って開発することになります。
それで、この「余力」というのは「暇な社員」や「有志」となってきます。

暇な社員ということは、プロダクト開発の第一線から漏れてしまっている社員ですので、能力としては高くない可能性があります。
有志に関しても、通常業務をやりながらなので「片手間」になりがちです。

そんな人材でUniposをコピー開発したら、もちろんUIもUXもダメダメになります。

考えてみれば当たり前ですが、1企業が主力商品として顧客の声を聞きながら社員全員で作り上げたUniposと、余力で作った模倣品では、品質に差がでても当然ですよね。

結果的に、「UIやUXの面で使いにくくなった」という声がでてきて、Uniposから切り替えた途端にピアボーナスを使わなくなる社員が現れる現象がおきました。

結論として、「Uniposをコピーしても同様の効果は得られない。所詮は余力で作った模倣品なので、使い勝手は必ず落ちる。」ということでした。

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