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複数の顔をもつから、好きだったんだね。

わたしには約30年前に出会った推しがいます。

幼稚園児のころに出会ってから、今も変わらずずっと好きなスーパーアイドル。
スリーライツ「星野光せいやこう」。

今日は「美少女戦士セーラームーン」の登場人物である推しについて、愛を持ってご紹介します。

なお、「複数の顔をもつキャラクター」について考えたことを「さいごに」で書かせていただきました。もし、ご興味ありましたら、「さいごに」だけ読んでいっていただければ幸いです。


◼︎ まえおき|作品と私


プロフィールで「セーラームーン世代」と自己紹介していましたが、何を隠そうわたしは30年来の作品ファンです。
中でも第5シリーズの「スターズ」は、令和になった現在でもいまだによく楽しんでいる作品です。

普段、アニメーションはそれほど見ません。「名探偵コナン」や「ワンピース」など超有名アニメ作品こそ通ってきましたが、そのほかの作品は名前すら知らないことも多いです。

そんなアニメ好きとは言えないわたしですが、セーラームーンに関しては別です。
人生の楽しいときも辛いときも、いつでも心にあった作品。それが「美少女セーラームーン 」でした。

そして「星野光」というキャラクターは、無意識下で約30年間好きでいつづけられた唯一の存在。物心ついたころ放送されていたということもあり、生まれて初めての推しアイドルでした。

というわけで、今回は完全なる私得なnoteになりますと前置きさせていただきます。
ただ、もし読んでくださった方が「美少女戦士セーラームーン」や「スリーライツ」について興味を持ってくださったら、共感でもっと好きになってくださったら最高です。


◼︎ 「スリーライツ」とは


美少女戦士セーラームーン完全版9

「美少女戦士セーラームーン」に登場するアイドルグループ。
セーラー戦士たちの通う十番高校の転校生、だがその正体は天の川銀河のキンモク星系のセーラー戦士。
キンモク星のプリンセス火球を追い、流星に紛れ地球へ飛来してきた。

原作は男装の女性。平成アニメ版は男性で生活し、女性で戦う。セーラー戦士になると体つきも変化し、口調や仕草までが女性的になる。

キンモク星には三つの衛星が存在し、セーラースターライツはこの衛星を守護にもつセーラー戦士。(平成版アニメ194話より)
三つの星の名前が、それぞれファイター、メイカー、ヒーラーと推測できる。(原作漫画完全版9より)


◼︎ 「星野光」とは


美少女戦士セーラームーン完全版9

スリーライツのリーダー(的な存在)。
主人公であるうさぎに恋心を抱く。うさぎのもとから消えてしまった衛にかわり、うさぎを支える。

「星野光」に限らず、人気作品のキャラクターにはたくさんの「顔」があると思っています。それは、原作からたくさんの作品となりその中で生まれた顔。スリーライツだけでご紹介するとこんな感じです。

原作漫画
  (1996年4月号-1997年1月号)
平成アニメ版【スターズ】
 (1996年5月11日-1997年2月8日)
ミュージカルバンダイ版1代目
 (1996年8月5日-1998年2月16日)
ミュージカルバンダイ版2代目
 (2003年7月20日-2004年1月13日)
ミュージカルネルケ版
 (2017年9月8日-10月1日)
令和アニメ版【Cosmos 劇場版】
 (2023年6月9日、6月30日公開)

ここからは各作品に登場する「星野光」をご紹介します。
なお、より個人の主観でご紹介するにあたり、バンダイ版2代目星野光は省略させていただきます。


1. 原作版

十番高校一年一組。16歳。A型。獅子座。
アメフト部。趣味は喧嘩。
クール、あまりわらわない。
まもるとはるかをたして2でわって、少年にしたカンジ(クラクしたカンジ)。
肉体派ナルシスト。
すぐなやむ。超ペシミスト。
ピアス シルバー。
モデル:ジェニー・シミズ
赤いバラのイメージ。

原作者竹内直子先生の設定メモより

衛とは血液型と星座が同じで、原作のうさぎからは声と瞳が衛に似ているとの描写がありました。

美少女戦士セーラームーン完全版9

ただスターズ編は物語が終始シリアスな為、恋模様は戦いの合間に星野の一方的な片想いを感じさせるシーンのみでした。実際、うさぎは特別なにも思ってないのかなとも個人的には感じます。


2. 平成アニメ版(声:新山志保)

リーダー兼ヴォーカリスト。正義感の強い熱血派ですが、時として冷静さを知き、ピンチに陥ってしまうことも(中略)。数学など学校の勉強は大の苦手。うさぎのことを「おだんご」と呼び、何かとチョッカイを出しますが、最初は毛嫌いされてしまい、なかなか相手にしてもらえませんでした。一方、天王はるかとは犬猿の仲です。

20周年記念BOOKより

衛とほぼ入れ替わりで登場したということで、うさぎの心を支えるヒーロー的な存在でした。

星野光というキャラクターの人気を高めたのは、間違いなくこの平成版アニメ版の星野でしょう。
星野のうさぎへの片想いがストーリーの主軸だったこともあり、平成アニメ版では彼の恋心がしっかり描かれていました。

そして原作とは異なり、2つの性別を持つ設定でした。
男の子と女の子の同一人物をしっかり演じ分けていた新山志保さん。彼女の演技力が「星野光」を輝かせ、今もなお不動の人気の高さを誇っていると感じます。

またキャラソンでは、うさぎへの恋心を歌詞にした曲がリリースされました。アニメの内容を際立たせる切ない歌詞、新山さんの歌唱力。傑作です。
なお、この曲は2020年NHK BSプレミアムにて放送された「発表! 全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票」のランキングでも10位(各キャラソンでは他のキャラソンを抜いて1位)で、ファンからも愛されている曲でした。

ちなみに、作詞は原作者の武内直子先生です。個人的には、原作漫画の星野の恋心は平成アニメ版ほどには感じられなかったのが素直な感想です。けれど武内先生が作詞されたという事実で、「星野光」というキャラの恋心に一貫性がうまれたように思っています。
もしかしたら、原作の星野の恋心も同等にヒリヒリしたものだったのかもと…


3. バンダイミュージカル版(演:片山さゆり)

平成アニメ版のようにうさぎにちょっかいを出すことはなく、クールさと真面目な雰囲気は原作版のイメージでした。ただ、性別については平成アニメ版の星野光寄りで「男の子役」だったようです。(片山さゆりさんのインタビュー記事より)

片山さゆりさんの歌唱力には圧倒されます。力強くて芯のある美しい歌声は唯一無二です。3人のセンターとしてしっかりスター性を発揮されていました。
色褪せない楽曲も相まって、この映像は今年もいっぱい見て聴いて楽しませていただきました。


4. ネルケミュージカル版(演:春川芽生)

https://natalie.mu/stage/gallery/news/248024/772534

原作の「星野光」を完璧に演じきったのが、春川芽生さんでした。ビジュアル、声のイメージ、どこを挙げても全てがまさに原作版星野光です。もう本当に、まるで漫画から出てきたような感じでした。

そしてなにより、お芝居が輝いていました。アニメ版やバンダイ版とは違い原作ベースのストーリー展開だったので、彼女にとっては終始切ない状況下でした。その切ない恋心のグラデーションをしっかり表情で表現している芽生星野には、定期的に何度も釘付けになります。その表情のひとつひとつが圧巻です。


5. 令和アニメ版(声:井上麻里奈)

星野の人気の要因は、圧倒的に平成アニメ版の影響と言っても過言ではないでしょう。その人気の要因の一つが演じられていた新山志保さんの演技力と前述しました。
リメイクにあたり、この期待度の高まる配役はファンの中でもかなりな注目度だったことと思います。

個人的には、リメイクを毛嫌いしていた方にも是非見てほしい作品です。
他のキャラクターに抱いた違和感を、星野に限っては全く抱くことはありませんでした。おそらく同じような印象をもった方も多かったはず。
作中の挿入歌やOPの歌唱力もさすが人気声優井上麻里奈さん、素晴らしかったです。リメイク星野として素晴らしい仕上がりだったと感じています。


◼︎ デビュー曲「流れ星へ」


スリーライツ好きだからこそ、平成アニメ版の作中デビュー曲「流れ星へ」の作品としての評価は常々気になっていました。

というのも、まだ親から影響を受けやすい未就学頃、母のこの作品への評価があまりにも低かったのです。
「私は好きなんだけどなあ」
もしかすると初めての自我はこれだったかもしれません。

「オリジナルのアレンジがあまりに完璧に構築されすぎていて崩しようがない」

SHU-TO.さんnoteより

この評価は、ファンとしてはなによりも嬉しくてたまりません。
作品についての説明や評価を知りたかった、という漠然とした願望を叶えてくれた素晴らしいnoteでした。
このSHU-TO.さんのnoteからも、スリーライツのスター性を連想することができます。スリーライツファンは必読です。


◼︎ さいごに


様々な作品として世にあらゆる顔のある人気作品。これを語る上で何かと出てくる「原作派」「アニメ派」という言葉。この言葉たちには、表面からは気づきにくいもっと奥底に込められた意味合いがあるように感じます。それは「キャラクター含め、物語もすべてが別物」ということです。
そして何を隠そう、わたしもこの言葉を使ってきた一人です。

わたしは「原作派」でした。
すこし前の拗らせぎみだったわたしは、「原作漫画一択」と自分の心に言い聞かせていました。
それは、「アニメ」や「2.5次元」に続きそうな「オタク」という言葉に宿る負のイメージに取り憑かれていたからです。
星野が好きという心には蓋をしたまま、だいぶ大人になりました。

そして、今回その心をカタチにすることでやっと認めてあげられたように思います。
「星野光」に抱くイメージを見つめ紐解き、奥底にある想いを抱きしめてあげたような感覚です。

わたしは「複数の作品にまたがる『星野光』派」です。(もちろん「美少女戦士セーラームーン」の作品ファンなのは大前提に。)
「うさぎへの一途な想い」、「平成アニメ版の声と雰囲気」、「バンダイ版の力強い歌声」、「ネルケ版の美しい顔と悲しそうな表情に声」…
どれかが欠けたら、わたしにはnoteに書くエネルギーすらもなかったかもしれません。
別人のように見えるけど、どの要素も独立していない。すべてが「星野光」というキャラクターに肉付けしている要素で、すべてが星野の素敵な一面。わたしはそう思っています。

複数の顔を持つキャラクターは、自分好みの新たなキャラクターの可能性をもつ存在です。良い意味で心の中で分別して勝手に作り上げられる存在なんでは、と思います。
でもだからこそ大切なのは、それぞれの違いを認めた上で好みな要素をいっぱい拾っていくこと。好きな部分にだけ光を当て続けること。
それが、よりキャラクターを愛することに繋がるように感じました。



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