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【渾身一句ショート】返句へのお返し


先日、企画参加した渾身一句。
ショートストーリーでどんな背景なのかを説明した後、思わず朗読。



すると、その句にステキな返句が。
ならばお返しにショートストーリーを書いて、朗読を。







【渾身一句 返句】


小声でねぬくもり欲しいと凍えた手



【渾身一句 返句ショート】


からっ風吹く二月は終わり、
小梅も芽吹く春三月。
河津桜は満開で、金目の煮付けも深い味。
まったりしたいよねぇ。あのヒトと。
さびれた湯けむり伊豆の宿、アナタと一緒に天城越え。

オトナの男っていうモンはねぇ、いつだってぬくぬくしてたいモンなんだよねぇ。
B.B.キングのブルースが終わることなく流れる夜更け、男臭さに慣れてくる頃、もう気分だけならすっかり昇天しちゃっているような、気持ちだけならしっとりしちゃっているような。
ぬくもり欲しくて差出した、大きく厚い手の平で、握られ火照る赤い爪。

ふるふる揺れる羽二重餅の、
舌に絡んだ甘い誘惑。
きつく抱く手の力の強さ、
ぴったり寄り添う厚い胸板。
囁かないで、耳は弱くて。
帰ったばかりの凍える指先。
絡めて、あっためてくれ、と耳元で。

求肥の耳たぶ前歯で挟み
甘噛みするよなその弾力。
こぼれて出るよなぽってりあんこ。
甘くて短い時は過ぎ。
羽二重餅の中の小豆を、思う存分頬ばって。
舌でころころもてあそぶよに、
どうぞアタシも好きにして。

北風冷たい夜遅く、
迎えに行くよ、とほだされて
何時間でも待ってます。
今宵もひとりのカウンター。
もう、いったい何杯目?
深くまわったいつもの酔いで、
この内股が思うのは、あのヒトの厚く冷たい大きな手。



🌸 🌸 🌸 🌸 🌸



そして、音声配信はこちら。









きゃうん♥

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