パリ・シャンゼリゼ 本日の時計屋さん(16) 愛はきらめきの中に
どこからか、本業は未だ継続中なのか、遊び歩いている間にクビになっているんじゃないか、時計なんかもう興味がないんじゃないか、なんて声も聞こえてきそうなぐらい時計屋さんのお話からは遠ざかっておりました。
実のところは書きたい記事がたくさんあって、仕事なんかしている場合じゃないんですよ!
...と言いたいとこなんですがそうもいかず。
そろそろクリスマス商戦を前に必要なモチベアップ!
流行病のやや収まりを見せるように国境が開き、サンクスギビングを境として、北米から冬眠開けのクマさんがガオーっとアクビでもするようにたくさん渡って、再びアメリカン・イングリッシュに耳が慣れてきた頃。
「お〜らら、ショーケースのココ、穴空いてるんだけど、何入れたらいいんでしょ?」
って、シナ作りながら聞いてくる最近別の店から移って来たジェンダーくん。
そう言やゴツすぎて誰も買わなかったのが、随分前から一つポロンと転がってたよね、アレ出してみる?
「えー、マジっすか!? で、でかっ。こんなん誰が買ってくねん!こりゃチャレンジやん。」
っちゅーんで、だいじょーぶ。姐さん売ったるがな。任しとき。とは言ったものの...
それでもまだ波があります。
誰もいない時にはがら~んとした時計屋さん。
そろそろ帰り支度でも始めようか...と思ったその刹那。
おぉっ!
来たぞ来たぞっ!
デカい獲物が!
日本じゃあ、こーゆーの"猪突猛進"ていうんでしょうけどね、おフランス人の場合は、"サイの行進"🦏と言うんです。
その動きや、『サタデーナイト・フィーバー』へ向かおうとしているトラボルタ🐯の如き。
サイ🦏なんか、トラ🐯なんか!?
大きなビジネスバッグに紙袋2ツ3ツ。
今時珍しい黒いソフト帽に金縁メガネがキラリ。
いくら金縁メガネがキラッとしたり、クリスマスイルミネーションが点灯したからって言ったって今年の省エネで薄暗い中、アフリカ系の場合お顔ははっきりわからない。
まずはハンターの心得。しばしの外敵観察じゃ。
敵も警戒しておる。声も出ない。
噛み付かれては元も子もない。
ここは下手に攻撃をかけず相手の出方を見るべし。
じわじわと距離を縮めながら、本能的に敵の体格を掴む。
こりゃあ、デカいぞ...
ん〜、ひるむな。明後日の方角から攻めよ。
「お仕事、ウマく🐴お済みになられました?」
敵、半歩引く。
「イッヒッヒン、ま、ね。」
? 🦏って感じでない。
「あ〜、そりゃウマカッタですね。そろそろ腕時計の方も新調なさらないと。」
「ゾウ🐘思ってね、前にもオタクで買ったんだけど、やっぱもっとゴッツいの欲しくてね。」
ゾウ🐘でしょう、ゾウ🐘でしょう。
「え!?じゃあこんなんゾウ🐘でしょう?ちょうど今朝出したところです。まるでお客様をお待ちしていたかのようなタイミング!」
と同時に指差す今朝のゴツいローズゴールド、キラリん✨
ゾウ🐘でしょう?
あれれ? 既に姐さんのハンター・マジックにかかったような目♥♥
ゆっくりと焦らすように黒手袋をピタッとはめ、心の中ではしなるような革の調教鞭を高く振り上げる。
そしてトレーに乗せる、ゴツい45mmローズゴールドレーサー仕様。キラリん✨
そしてその横には添え物の如き二本目も忘れずに。
「ゾウ〜🐘、ゾウ〜🐘...」
あれ? もしもし? ヨーロッパでは昔からよく寝られない時、ヒツジ🐑を数えるんですけどね、アフリカの方では、ゾウ🐘を数えるんかな?
「コレ、もらうよ。」
あ、2秒でイッた。はやっ💪
(⚠️特別な薬は一切使用しておりません)
二本目よ、隣のゴツいのを引き立てるような良い仕事をしてくれた。アンタにゃ目もくれてなかったね。だけどイイんだ、それで。
しかしなんだって、男ってえのはゴツいの、とかデカいの、とかってのにこだわるんだろうねぇ。もちろん、姐さんもスキだョ。いやん♥
だけど男はそれだけじゃない。
男はハートの熱いのがスキだねぇ😍
...って今姐さんのラブハンターの話聞いてないでしょ。
「新作だよね?」
サイ🦏ざんす。
ストックで随分前から一つボロンと転がってたなんてことあるわけないゾウ〜🐘!
在庫整理しようと思って今朝出したなんてことあるわけないゾウ〜🐘!
こんなん誰が買うんじゃって、姐さん、勝負に入ってたなんてことあるわけないゾウ〜🐘!
「ホントに...お客様のことをココでお待ちしていたかのような出会いですね。シンデレラだってそうやってプリンスに出会ったんですから。
そう言えばどちらから?」
「ブルキナ・ファソ」
ほ〜。面白い。
確か昔はおフランスの植民地だった...
だけど元々は"モシ王国"っていう砂金の出る国で。"モシ、砂金が出たらどーする?"と人々が集まったと。
16世紀に、北の"ソンガイ王国"と、南の"アカン国"に分かれたと。やっぱりソンガイあったらアカンのやろね。
1919年にはおフランスから独立して、オー・トラボルタ🐯という国名になった(やっぱり!)
あ、ちゃうわ。オートボルタか。オー・トラボルタのほうがえかったんとちゃう?
でも今の"ブルキナ・ファソ"になったのは1984年なんやね。
「で、どこにお住まいなんです?」
(免税書類に必要なんで事情調書取っとく。準備は怠らないのがモットー。)
「ワガドゥグー。」
へ!? 『ハッとしてグー』?
トシちゃんだけに、ちゃんと都市名で返ってきてるわ。
「暑いんでしょうねぇ、雨は降ります?」
「40℃超えもよくあるゾウ〜🐘
8月は月の半分が雨だゾウ〜🐘」
あらっ、じゃあこの暑さと水に強いシリコンベルトが大活躍!
「実は前にもココで買っていったらトモダチも欲しいと言ってね。似たようなのある?」
待ってましたっ!
一本じゃ逃さんゾウ〜🐘。
「それはなかなかムズカシイご注文で。先程お客様にお見せしたのが、大変個性的な最後の一本でしたのでね。」
(と、貴重感アップ作戦)
こちらの二本、オススメですが。
やはりクロノグラフ機械式はお値段張るゾウ〜🐘
と言うことで、シンプルな飽きの来ない一本をオトモダチに。
これぞ、オトモダチ愛♥
きっとこのお客様、愛に溢れているのね。
と言うことは。
「明日はお休み頂いておりますが、明後日はいつも通り居りますので、奥様たちへの贈り物ございましたら是非、お寄りくださいませ。」
一夫多妻制に期待が膨らみますん♥
「出張は日曜までなんでね、また来るゾウ〜🐘」
本日はお買い上げ誠にありがとうございました🙇♀
キラリん✨
『愛はきらめきの中に』
そしてこちらはnote愛。
あはん♥