爆音のヘビメタと鳴り止まないサイレン
私は今、ニューヨークにいる。自分が想像していた以上にここが気に入った。ほどほどに私の存在を無視してくれるこの街は、案外心地よい。
金曜日の夜。マンハッタンから少し外れた閑静な住宅街では、どこかの家から弾け飛ぶヘビーメタルの音楽が部屋の窓を振動させ、サイレンが遠くで鳴り狂っている。
突如地下鉄に乗り込む狂気者は空気の様に扱われ、行儀の悪いやつには堂々ピシャリと物申す。良いと思えば良いと口にし、自分を信じて表現する。そんなこの街は問答無用でここが「弱肉強食」の世界であることを思い出させる。様々な人種が行き交い生存争いをするこの街は、まさにコンクリートジャングルだ。