『引き出しにしまった話』#創作大賞感想文
誰かに惹かれる自分の気持ちを、自分自身が信じられなくなるのは、なぜだろう。
こんなの「普通」じゃない……
相手に「迷惑」をかける……
これ以上は「ダメ」だ……
本当にそうなの?
それを確かめることすら怖くなって、一歩も前に進めなくなってしまう。
でも、やっぱり惹かれる。惹かれ続ける。
伝えられない想いが、どんどん自分のなかで大きくなっていく。
そして・・・
ふとしたきっかけで思わず本音がこぼれた瞬間、相手の緊張を感じて、自分の気持ちにふたをする。
「なかったこと」にしまうのは、これまでの関係性が壊れてしまうのが怖いから。
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「〇〇でなければならない」
というプレッシャーは、あらゆるところに潜んでいるように思います。
親・先生・世間が決めた様々な基準から逸脱することがないように育てられている、といってもいいかもしれません。
「基準を外れることで相手に迷惑をかけるくらいなら、自分が我慢したほうがいい」
相手を想う愛からくる優しさに触れると、私は切なくてたまらなくなります。
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誰もが無条件の愛を送りあえる世界を望む私は、その逆の世界を描く漫画に惹かれてきました。
切なくて切なくて、読むたびに涙する作品群に、『想いを伝える・伝わる』という私の価値観は育てられてきたのです。
細村 誠さんの『引き出しにしまった話』にも、胸が締めつけられました。
愛しすぎるあまりに身をひこうとする切なさに、私は想うのです。
・誰もが無条件に愛し愛される世界にしたい
・自分を犠牲にすることがない世界にしたい
って。
細村 誠さんの数々の作品を拝読しながら、無条件の愛について考え続けています。
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細村 誠さんに出逢わせてくださった横山小寿々さんに感謝いたします。
「私が私である」ことの確信へ導く魔法使い
御影石 千夏