言ってくれなきゃわからない〜素直に喜べなかったパリの思い出
小学生のころから海外に憧れていた私は、大学時代にバックパックを背負って20ヵ国以上を旅しました。
今回はそんな旅の思い出のなかから、ため息が出ちゃうエピソードを綴ろうと思います。
*
パリの街中を巡ったある日の夕方、私はかなり歩き疲れていました。
ですが、彼は歩みを止めません。
しかも、なんだか遠回りしているように感じられます。
「こっちから行ったほうが近くない?」
と地図を広げて訊いてみると、
「この道でいい」
と彼は答えます。
「足が疲れたから、バスに乗ろうよ」
と私が提案しても、彼は歩き続けます。
「どうして?」
と訊いても何も答えない彼の後ろを、私はブーたれながらついて行きました。
やがて……
目の前がパーッと開けました。
あ! エッフェル塔!
頭では、わかりました。
それなのに……
私は素直に喜べなかったんです。
(キレイー!ここまで連れてきてくれたありがとう!!)
と口に出せないほど、疲れていました。
理由も言わずに歩き続ける彼に怒りを感じていたし、食費を節約するあまり、おなかも空いていたんだと思います。
私に心の余裕があったなら、こんな展開↓になったでしょうに。
私ときたら、あまりに喜び下手でした。
しかもね、そのとき、猛烈に思ったんです。
いやはや……
他責思考にもほどがあります。
彼だって、疲れていたに違いないのに、ね。
反応の薄い私に、彼はどんなにガッカリしたことでしょう。
私を喜ばせようしてくれた彼の気持ちを無碍にした自分に、ため息が出ちゃいます。
もしも、彼に再会する機会があったとしたら、
「あのときは本当にありがとう」
とハグしたいなー、なんて。
本当にやったら嫌がられるでしょうから、エアーハグで感謝の念を送っておきます、笑
「私も大人になって、〈喜び上手〉になったよ」
って伝えたら、どんな顔をするかしら?と思ったら、楽しくなっちゃった。
思い出させてくれて、ありがとう♪
「私が私である」ことの確信へ導く魔法使い
御影石 千夏
*あとがき*
チェーンナーさんのバトンリレー企画「人生は人喜ばせ合戦」のバトンを ふらおさんから受けとって以来、「喜ばせる」について考え続ける日々でした。
素敵な問いをくださって、ありがとうございます。
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